2021年7月13日
|2022年7月4日
近年、ニュースなどで「日本では将来的にIT人材が不足する」と取り上げられ、成長分野として注目されています。そんな中、就職先としてIT企業に興味をもった文系学生も多いのではないでしょうか。
しかし、IT企業は理系のイメージもあり、「文系出身でも就職できるのか」「ITの知識がない」など、不安を感じてIT企業への志望をためらっている文系学生は少なくありません。
この記事では、そんな不安を解消するために、「プログラミング未経験の文系学生でもIT企業へ就職できる理由」の解説と、「文系学生の強みを活かしてIT企業への就活を進めるためにやるべきこと」を紹介します。
この記事の目次
文系学生がIT企業への就職を不安に思う理由として挙げられるのは、専攻の学歴やIT知識がないことではないでしょうか。しかし実際には、文系出身者やプログラミング未経験者でも歓迎しているIT企業は多く存在します。
まずはその理由について解説していきますので、IT企業への就活が不安な文系学生はぜひ参考にしてみてください。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発行している『IT人材白書 2020』の調査によると、約9割のIT企業がIT人材の不足を感じていると回答しています。こうした状況により、IT企業はIT人材の不足を補うために、学歴不問・未経験者でも、将来的に活躍が見込める人材であれば採用しているのが現状です。いわば就活生にとっては、売り手市場のチャレンジしやすい業界といえます。
最新の求人動向では、新型コロナウイルス感染拡大により、先行きが見えない中での人材育成を避け、IT業界の未経験者採用の市場は縮小傾向にありました。その反面、コロナ禍の影響はビジネスの非対面化・オンライン化を後押しし、データとデジタルを活用した企業のIT化やDXを急速化させ、ITの需要拡大にもつながっています。これにより、IT人材の不足は継続した問題となっており、未経験者求人も回復傾向にあります。
参考記事:株式会社リクルート『転職市場動向レポート 全15業界 コロナ禍の中途採用・転職活動の最新状況を解説』
参考記事:doda『転職市場予測2021下半期【キャリアアドバイザーがコロナの影響を解説】』
では、実際のIT企業の採用状況を見てみましょう。『IT人材白書 2018』を参考に見てみると、新卒IT人材を採用する上で、半数以上の企業が「専攻学科にこだわっていない」のが分かります。また、この結果はいずれの社員規模の企業でも、最も高い割合です。
専門性の高い分野においては、理系出身者が採用要件として指定されてる場合もありますが、IT業界全体としては、理系・文系問わず積極的に採用してます。文系出身者だからといって、IT企業への就職を諦める必要はないといえます。
とはいえ、結局採用されているのは理系出身者なのでは?と不安に思う方もいるでしょう。
2020年に文部科学省が実施した学校基本調査によると、新卒採用でエンジニアなど「情報処理・通信技術者」の職に就いた文系出身者の割合は、全体の約45%に及ぶと結果がでています。
IT企業が理系の就職先というのはあくまで世間のイメージで、実際には多くの文系出身者が新卒採用されています。専攻学科でITの知識を学んでいない文系でも、エンジニアなど技術職への就職が十分可能なのです。
参考:文部科学省『学校基本調査/令和2年度高等教育機関《報告書掲載集計》卒業後の状況調査 大学』
IT企業では、業務内容に専門的な技術が求められるため、実務では文系学生だけでなく理系学生にとってもわからないことが多いです。そのため、他の業界よりも入社後の研修が充実している傾向にあります。ビジネスマナーから、ITインフラ・プログラミング研修などで基礎知識を身に付けてから、OJTなどでより実践的に業務を学んでいきます。
最初は、理系学生とIT知識の差を感じることがあるかもしれませんが、どの新卒も同じように研修を受けていくので、知識の差は学習を進める中で縮めることが可能です。
文系学生には、文系出身者だからこそIT企業で活かせる強みがあります。どのようなところがIT企業に歓迎されているのか把握して、就活でアピールする際の参考にしてください。ここからは、文系学生にある強みを主に3つご紹介します。
エンジニアなど技術者は、パソコンで一人黙々と作業をするイメージを持っている方も多いと思いますが、システムの開発はいくつもの工程で成り立っているため、チームで動くことがほとんどです。メンバーとの連携、進捗や問題点の共有など、円滑に業務を遂行するにはコミュニケーションが欠かせません。また、上司や先輩と上手にコミュニケーションを取れる人材は、未経験からの成長も早いでしょう。
文系の研究や卒業論文は技術的な能力として評価されづらいため、過去の経験からコミュニケーション能力をアピールする文系学生が多くなりがちです。しかし、チームとして働くことに有効なアピールにつなげられれば、IT企業にとってポテンシャルを評価できる存在となり得ます。
情報を相手にわかりやすく伝達する文章力や、相手が意図していることを読み解くことができる読解力は、文系の強みです。
IT企業では、提案書や設計書、仕様書など、開発をする上で基準となる資料を作成したり、読み込んだりすることが多くあります。これらの伝え方や解読の仕方を誤ってしまうと、最終的に出来上がるものなどが大きく変わってしまいます。そのため、これまで文章に触れる機会の多かった、文系出身者の文章力や読解力は、重要な役割を果たせる強みといえるでしょう。
IT業界では、日々新しい技術が生み出されています。その中で、最新のテクノロジーや製品の多くは、米国発信のものも多いです。そのため、情報サイトやマニュアルも英語の場合が多く、英語力があると新しい情報も早く理解することができます。
目まぐるしいスピードで進化していくIT業界で、最新情報を敏感にキャッチして技術に活かせる人材は、企業側にとって貴重な存在です。
IT企業の中にも様々な職種があります。研究開発職など専門的な分野に関しては、理系の大学院出身者が採用されやすいといわれていますが、文系出身者には文系の強みを活かせる職種があります。
自分はどのような職種で強みを活かせるのか、IT企業の職種を確認してみましょう。文系学生が活躍している、IT企業の職種を主に5つご紹介します。自分の能力やスキルに合った職種を選んでみましょう。
プログラマーは、システムエンジニア(SE)が作成した設計書を元に、プログラミング言語を使ってシステムを書く作業を行う人です。設計書を正しく読み解き、プログラミング言語でパソコンに正確に指示を与えることで、システムが動作します。SEや他の工程のメンバーと連携する場面も多いため、コミュニケーション能力を発揮できる職種といえます。
また、プログラミング言語の多くは英語をベースに作成されており、エラーや不具合が発生した際に確認する、公式リファレンスマニュアルも英語の場合が多いですが、英語スキルのある文系出身者であれば、抵抗なく読むことができるでしょう。
SEは、クライアントが求めるシステムをどのように作るかを考える職種です。クライアントから要望をヒアリングし、要望を元にどのようにプログラムを作るか考え、完成したプログラムがきちんと動作するかを確認するまでが、SEの仕事になります。
クライアントの要望を汲み取り、プログラマーなどチームのメンバーとやり取りするには理解力や伝達力が求められます。また、システムに関する説明をクライアントやエンジニアにわかりやすく伝えるには、提案力が必要です。
基本的にプログラミングを書くのはプログラマーの仕事ですが、仕様書を作成するにはプログラミングの知識やシステム設計の知識など、幅広い知識が必要となります。マネジメント能力を伸ばすことで、プロジェクトマネージャーなどへのキャリアアップも目指せる職種です。
インフラエンジニアは、サーバやネットワークといったITシステムの基盤を構築するエンジニアです。構築だけでなく、サーバやネットワークが正常に動作しているか監視し、障害対応を行う運用・保守といった業務も行います。未経験からでは、この運用保守から始めて知識や技術を積んでいくことが一般的です。
ITエンジニアはドキュメント(資料)作成の多い仕事です。設計書や指示書、プレゼン資料、マニュアルや報告書など、技術的なことよりも資料を作っていることの方が多いといわれるほど、資料の作成能力は重要です。運用保守を行うインフラエンジニアは、報告書やマニュアル作成の機会も多いため、文系の能力を活かせる職種と言えます。
ITコンサルタントとは、ITを活用して経営やビジネスの課題を解決する職種です。ITの知識や技術だけでなく、経営に関することなど広範囲で専門的な知識が求められます。
SEがお客様の要望に合わせてどんなものを作るかを考えるのに対し、ITコンサルタントはそもそもどんなものがあればいいのか、ITを活用したほうが良いのか、というところから関わっていきます。IT知識を吸収しつづけることが重要な職種ですが、それを業務に活かすにはクライアントの問題に寄り添い、最適な提案を行う能力が欠かせません。
セールスエンジニアは、営業職と技術職の2つの役割を兼ねる職種です。
普段は技術者として開発業務に携わることが多いですが、営業担当者とクライアント先に同行して、技術的な深い部分を説明する役割を担います。システムの情報を提供しつつ、自社製品などの導入を促す対話能力も必要なため、コミュニケーション能力が求められます。
基本的にはエンジニアとして経験を積んで、営業力を身に付けた方が、セールスエンジニアになる場合が多いです。
文系出身者・プログラミング未経験者でも、IT企業への就職が可能だと安心した方も多いのではないでしょうか。確かに、募集要項に学科やスキルが限定されていなければ、選考に進むことは可能です。しかし、対策を何もせずに選考を受けていても内定を獲得するのは難しいでしょう。
まずはIT業界のことを理解し、なぜその企業を受けたいのか、自分は企業に対してなにが貢献できるか、しっかり企業へ伝えられるように準備しておくことが大切です。
ここからは、文系学生がIT企業で内定を獲得するためにやるべきことを解説していきます。
IT企業といってもさまざまな業種や職種があり、それぞれの仕事内容や求められるスキルも異なります。
そのため、文系学生がIT企業へ志望する場合は、まず自分がIT業界で何をしたいのかを明確にして、必要な基礎知識やスキルを身に付けておく必要があります。
IT業界に関するセミナーや講座などを受講して、意欲的な情報収集やIT知識の学習をしている就活生に対しては、企業の採用担当者も好印象を抱きます。
IT企業で活躍できる可能性をしっかりアピールするためにも、IT業界におけるさまざまな知識を意欲的に学ぶ姿勢が大切です。
IT企業でも業態から働き方など、各社さまざまな特徴があります。その多数の選択肢の中から、なぜその企業を志望したのか、という点については面接の際に重要項目としてほぼ間違いなく聞かれます。
企業の情報をしっかりと分析し、その企業でしかできないことや、その企業で活躍できる自分の強みをアピールするには、十分な企業研究が必要です。その企業の歴史背景や企業理念、経営方針などはもちろんのこと、サービスの展開内容や強みと弱みなど、研究すべきポイントは多数あります。
面接で説得力のある回答をするには、企業のことを理解することが重要です。また、入社後の不一致を防ぐためにも役立ちますので、企業研究は入念におこないましょう。
文系学生が、理系の専攻学生と比べるとIT知識が劣ってしまうは事実です。そこで、文系だからこそ伝えられる志望動機を考え、「興味・関心」や「熱意」を企業へアピールすることが大切になります。
IT企業が文系学生も歓迎しているにはそれなりの理由があります。企業が求める能力や資質を理解し、これまでの経験を活かしてどのような貢献につながるのかを、採用担当者がイメージできる回答を目指しましょう。
また、回答内容に説得力を与えるには、どのような行動をしてきたかを伝えることも重要です。採用担当者は、文系の就活生に最初からITスキルを求めているわけではありません。これからの伸びしろと活躍の可能性を見極めています。文系だからこそ伝えられる志望動機をしっかりと考えましょう。
IT企業が「学歴不問・未経験歓迎」としていても、ITの知識を全く習得せずに就活をすることは問題です。最低限の知識を身に付けておかないと、研修の時点でつまずきかねません。また、自分の意欲や可能性をしっかりとアピールするためにも、ITにおける様々な知識を学ぶ姿勢が重要です。
文系出身者がIT企業への就職を目指すのであれば、不足している基礎知識やスキルを学んでおきましょう。
プログラミング未経験でも就職は可能ですが、全くプログラミングに触れたことがない場合、プログラミング研修の段階で挫折して、就職したことを後悔してしまうケースもあります。そうならないためにも、就職する前に書籍やプログラミング学習サイトなどで、入門編から試しに学習してみましょう。自分のプログラミングへの適性を知ることにもつながります。
進みたい分野や学びたい言語が決まっている場合は、プログラミングスクールに通うことで、講師のサポートやカリキュラムのもと効率的にスキルを身につけることもできます。
たとえ未経験OKの求人であったとしても、IT学習に意欲的な姿勢を証明することは、将来的に活躍できる人材として有利なアピールポイントとなるでしょう。
プログラミングスクールを検討される際は、ぜひ私たち「学舎さくら」をご検討ください。完全オンラインによるカリキュラムで、全国どこからでも受講が可能。専属講師によるプログラマー向け・インフラエンジニア向けの2つのコースをご用意しています。首都圏と高知県を対象に就職支援も行っており、就職を前提とした場合は、完全無料となっています。
パソコンを使用するのは、プログラミングだけではありません。資料作成やデータ管理で、関数やグラフの作成・図形描画など、ExcelやWord、PowerPointなどのofficeアプリケーションを使う機会は多くありますので、基本的な操作には慣れておきましょう。
IT企業の新卒採用では強みや熱意なども重要視されますが、面接で同じ評価の文系の人がいれば、少しでも知識がある方が優遇される可能性があります。そういった意味でも、客観的な判断基準になりやすい資格を取得することも検討しましょう。
自主的に資格取得向けて勉強してきたという前向きな姿勢は、意欲や熱意を印象付けることにもなります。難易度の低いものであれば3ヶ月程度で取得できますので、挑戦してみてください。
・ITの基礎(国家資格)…ITパスポート、基本情報技術者試験
・ネットワークエンジニア向け…CCNA
・サーバーエンジニア向け…LinuC
文系・プログラミング未経験でもIT企業への就職は十分可能です。文系出身だということやIT知識がないことで、IT企業への就活に不安だった文系学生も多いと思います。ですが、IT企業の業務内容は専門的なため、実務に通用するIT知識は入社後に育成する企業も多くあります。就活生に求められているのは、入社時のITの技術量よりも、将来的に活かすことのできる強みや、企業への熱意、知識を習得していく意欲です。
文系出身だからという理由で、IT企業への就職を諦めず、積極的に就活に取り組んでみてください。
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