2022年7月22日
|2022年8月17日
未経験からIT業界を目指したい方、「ITエンジニアってどれくらい種類があるんだろう」「自分に向いているのはどのエンジニアだろう」と考えたことはありませんか?
この記事では、ITエンジニアの種類やITエンジニアに求められること・おすすめの資格をプログラミング初心者にもわかりやすく解説しています。ITエンジニアへの就職・転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
IT業界の求人票を見てみると、「プログラマー」「システムエンジニア」「Webエンジニア」など、さまざまな名称の職種が掲載されていますね。
ITエンジニアといっても、職種によって業務内容がまったく異なりますので、就職を考えるときには違いをよく理解しておく必要があります。ここでは、求人票でよく見かける代表的なITエンジニアの種類について、業務内容や平均年収などを紹介しますので、違いを押さえておきましょう。
プログラマーとは、プログラミング言語を使ってコンピューターに指示を与えるプログラムを作る人のことです。コンピューターは私たちの暮らしを便利にする色々な機能を実現してくれますが、それらの機能はプログラマーが作るプログラムによって成り立っています。
プログラマーは、プログラミングの専門的な知識・スキルが必要になるので、開発系の技術者に位置づけられ、主に①プログラムの設計 ②コーディング(プログラミング言語を用いたソースコードの記述) ③テスト・デバッグ(バグの修正)の流れで業務を行っています。
プログラマーが活躍できる分野は多岐にわたり、それぞれで専門性が異なります。代表的なものは次の5つです。
平均年収:約420万円(参考:厚生労働省『賃金構造基本統計調査 2019』)
各業務の詳細や、プログラマーに必要なスキルなどは、次の記事でわかりやすく紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
システムエンジニア(SE)とは、主にシステム開発の上流工程を担当する職種です。上流工程とはシステム開発の初期の工程を指し、具体的には次の3つの工程に分けることができます。
①要件定義:
システムの概要・実装機能を明確化しクライアントに提示する工程です。必要に応じて業務フローを書くこともあります。
②基本設計:
開発するシステムを、画面のUIや出力ファイルなど、機能単位で分割して、どのような機能にするか、機能同士をどう繋げるのかを決める工程です。
③詳細設計:
基本設計で決めた機能をどのように実現させるか、それぞれの機能の処理方法などを具体的に決める工程です。
同じシステム開発でも、クライアントとプログラマーの架け橋になるのがシステムエンジニアの役割で、実際にコーディングしてプログラムを構築するのがプログラマーの役割といえます。また、クライアントに責任を持つ立場として、上流工程だけではなく納品前のテスト・納品にもシステムエンジニアは携わります。
平均年収:約569万円(参考:厚生労働省『賃金構造基本統計調査 2019』)
システムエンジニアについての詳細は、次の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
IT業界で「エンジニア」というと、広く存在する「ITエンジニア」ではなく、より狭い意味である「システムエンジニア」を指すことが多くあります。「エンジニア」と聞くと、技術者のイメージからプログラマーの仕事を想像されるかもしれませんが、システムエンジニアとプログラマーの業務は大きく違います。IT業界のことについて調べるときには、「エンジニア」という言葉が何を指しているのかに注意しておきましょう。
また、IT業界の特徴として職種の境界が曖昧なことも挙げられます。システムエンジニアだけどコーディングまで担当する、プログラマーとして就職したけどクライアントとの打ち合わせにも参加するといったことは、企業の規模や案件によって違いが出ます。単純に職種だけで判断せず、求人票の仕事内容をよく確認するようにしましょう。
Webエンジニアとは、WebサイトやWebシステム、Webアプリを開発する技術者のことです。いわゆるWeb系と呼ばれるサービスの開発に特化した仕事になります。
Webエンジニアは、Web開発で担当する役割によって分類され、画面の表示や操作などユーザーの目に見える部分を担当する「フロントエンドエンジニア」とサーバーサイドの処理などユーザーから見えない部分を担当する「バックエンドエンジニア」の2種類に分けられます。
Webエンジニアの特徴は、上流工程と開発、それぞれを総合的に担当することです。Web系のサービスは、変化の早い顧客ニーズに合わせてスピーディに対応する必要があり、プロジェクトの規模も比較的小さいため、役割ごとの担当が次の業務を一貫して行います。
また、フロントエンドやバックエンドのいずれかだけでなく、複数の役割を担当できるフルスタックエンジニアと呼ばれるスペシャリストも活躍しています。
平均年収:約564万円(参考:求人ボックス『給料ナビ』、2022年7月時点)
Webエンジニアについて、より詳しく知りたい方は、次の記事をあわせて読むのがおすすめです。
システムエンジニアとWebエンジニアは、職域が広いという共通点があるため違いが分かりづらいかもしれません。両者の違いは、開発するプロジェクトの規模や、所属する企業にあるので見てみましょう。
職種 | プロジェクトの規模 | 所属企業 |
システムエンジニア | 大規模プロジェクト | 主にSIer システム開発案件を一括受注する企業。 |
Webエンジニア | 小規模プロジェクト | 主にWeb系企業 若いベンチャー企業が多く、平均年齢の低い企業が多い傾向。 |
とはいえ、線引きが曖昧なところもあり、Web系に特化したシステムエンジニアのことをWebエンジニアと呼ぶ企業もありますので、こちらも職種名だけで判断せず、求人内容をよく確認するようにしましょう。
インフラエンジニアとは、ITシステムの基礎になる「ネットワーク」や「サーバー」を構築する技術職のことです。サーバーとネットワーク、両方の知識が必要になるインフラエンジニアの求人もあります。
ITインフラのどの分野を専門にするかで、次の名称で求人票に載っていることもあるので、順番に見ていきましょう。
サーバーエンジニア | オンプレミス環境でサーバー構築・管理・保守を行う技術者。サーバーの選定、配線、接続なども行う。 |
ネットワークエンジニア | コンピューターネットワークの構築・保守・管理を行う技術者。サーバー同士の接続や、ネットワークの経路設定なども行う。 |
データベースエンジニア | データベースの開発・設計・運用・管理を行う技術者。ビックデータを取り扱うこともある。 |
セキュリティエンジニア | セキュリティに配慮した、サーバーのシステム設計・運用、サイバー攻撃を未然に防ぐための調査や対策を行う技術者。 |
クラウドエンジニア | クラウド環境上で動作するサーバー構築・管理・保守を行う技術者。 |
平均年収:約534万円(参考:求人ボックス『給料ナビ』、2022年7月時点)
次の記事では、インフラエンジニアの魅力や役立つ資格などを紹介しているので、参考にしてみてください。
セールスエンジニアとは、営業担当を技術面からサポートするエンジニアのことです。
具体的には、クライアントが自社の製品を活用できるように情報提供を行ったり、製品またはサービスの販売をサポートしたりします。
求人票によっては、次の名称で掲載されることもあります。
・サービスエンジニア
・プリセールスエンジニア
・フィールドアプリケーションエンジニア(FAE)
システム導入の要件定義や設計の管理だけではなく、クライアントの要望・課題のヒアリングや自社製品のプレゼンテーションも業務範囲です。
平均年収:約523万円(参考:求人ボックス『給料ナビ』、2022年7月時点)
ITエンジニアになるには、プログラミングスキル以外にどんなスキルが必要だと思いますか。ここからはITエンジニアに求められる次の3つのスキルについて解説していきます。
ITエンジニアは、職種によって業務内容や専門とする分野が違ってきますが、IT全般の知識は共通して必要です。
たとえば、自分がインフラエンジニアでなくても、ITインフラなしではシステムは動かないので、基礎的な知識は必要です。システムエンジニアとしてプログラミングはできなくても、プログラミングの基礎知識すら知らなければクライアントと交渉ができません。IT全般の技術を習得する必要はありませんが、基礎知識の習得は不可欠となります。
また、ITエンジニアは、他のエンジニアとのコミュニケーションが多い仕事です。基礎的なIT知識がなければ円滑な会話も難しくなり、信頼関係の構築にも支障が出るでしょう。
ITエンジニアは、技術だけでなくコミュニケーション能力も重視される職業です。
クライアントとのコミュニケーションがないIT職でも、共同で開発をするチームメンバーとのコミュニケーションは不可欠です。エンジニアに必要なコミュニケーション能力として、具体的には次の3つがあげられます。順番に解説していきますね。
開発作業は基本的にひとりで行うものではなく「チーム開発」です。仕事を進めるために大切なのがメンバーとの情報共有。たとえば、業務を分担して行っている場合、進捗状況・業務中に起こる課題を全体で共有していくことが必要になります。また、業務を効率的に進めるには「ノウハウ」を共有していくことも重要です。
ITエンジニアには、クライアントや上流工程担当者、チームメンバーといった相手から、要望を正確に聞き出すヒアリング力も求められます。ヒアリング力とは、相手の話をただ聴くだけではなく、「相手の意図」を正確に理解すること。プロジェクトを遂行するうえで重視される能力です。
ITエンジニアは、相手の要望をヒアリングした結果を分析して、プレゼンします。その際に求められるプレゼン力とは、自分が伝える内容を考える「構成力」、伝わりやすい資料を作る「表現力」、聞き手に訴えかけるような「説得力」の3つがあわさったスキルです。相手の立場に立ってわかりやすいプレゼンができるのが理想といえるでしょう。
コンピュータへの指示をシンプルで効率的なものにするには、目的達成のために必要な要素を分解し、論理的に筋道を立てて考えていく思考が求められます。この論理的思考は、プロジェクトのスケジュールを組んだり、トラブルが発生したときに解決策を導きだしたりと、仕事のあらゆる面で業務を効率的にする能力です。技術の移り変わりが激しいIT業界ですが、「新しい技術を使いこなす普遍的なスキル」としても、論理的思考が求められます。
IT業界への就職・転職時に、資格の有無はあまり重要視されません。しかし、未経験からITエンジニアを目指す場合、「プログラミングの基本的な知識」があることを証明するために、IT系の資格取得に挑戦するのもいいでしょう。
IT系の資格は、次の3種類に分かれます。
情報系資格 | IT業界で仕事をするうえで、職種に関係なく役立つ資格 (例)ITパスポート/基本情報技術者試験/応用情報技術者試験など |
エンジニア系資格 | プログラマーやシステムエンジニアを目指す場合におすすめの資格(※経験者向け) (例)オラクルマスター/ネットワークスペシャリスト/システムアーキテクトなど |
マネジメント系資格 | 将来的に経営者を目指す場合におすすめの資格(※経験者向け) (例)ITストラテジスト/プロジェクトマネージャ/情報処理安全確保支援士など |
IT業界未経験の場合は、プログラミングに関係する知識を体系的に学べる情報系資格がおすすめです。
ここでは代表して、エンジニアの登竜門とも呼ばれる「基本的情報技術者試験」を詳しく紹介していきます。
基本情報技術者試験は、IT技術者を対象にした国家試験で、エンジニアの登竜門と呼ばれています。
試験は午前と午後に分かれていて、出題範囲も広いです。午後の試験は選択式になりますが、合格を目指す場合、選択内容によってはプログラミング言語の学習(C言語、Java、Python、アセンブラ言語)も必要です。
基本情報技術者試験は、春期(4月)と秋期(10月)の年2回、希望する試験会場での試験があります。試験日当日の受験が難しい場合、4月中・10月中であれば、コンピューターを利用して実施するCBT(Computer Based Testing)方式にて、各都道府県で自分のスケジュールに合わせて受験できます。
主催 | 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) |
受験手数料 | 7,500円(消費税込み) |
制限時間 | 【 午前 】150分(小問、80問) 【 午後 】150分(大問、11問中5問選択) |
出題方法 | 【 午前 】多肢選択式(四肢択一) 【 午後 】多肢選択式 |
合格率 | 20~30% |
公式サイト | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:基本情報技術者試験 |
ただし、2023年4月からは大幅な制度改正が公表されていますので、注意が必要です。主な変更点は次の通りです。
変更後のまとめ | |
実施日 | 任意の日程で随時 |
制限時間 | 【 科目A 】90分(小問:60問) 【 科目B 】100分(小問:20問全問必須) |
採点方式 | IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づく方式 |
出題範囲 | 【 科目A 】現在の午前試験に準じます。 【 科目B 】これまで必須解答としていた「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二つの分野を中心にした構成に変更します。 また、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題は、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語による出題に統一します。 |
参考:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について(基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の通年試験化)
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ITエンジニアの種類は多く、業務内容によって名称が違います。
目指す分野によって、求められるプログラミング言語やスキルも大きく変わりますが、気になる職種は見つかりましたか?
採用後の成長を期待されるため、IT業界未経験でもITエンジニアは目指せますが、就職活動時に「プログラミングの基本的な知識」を証明できるとプラスになります。そのためにまずは、情報系資格の取得を目指して学習をはじめてみてはいかがでしょうか。
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