2021年11月12日
|2021年11月30日
この記事の目次
システムエンジニアはSEとも略され、システム開発の上流工程を主に担当する職種です。同じくシステム開発に携わるプログラマーとの違いを簡単に説明しながら、システムエンジニアの業務内容について解説します。
システムエンジニアの業務内容を理解するために、まずはシステム開発の流れを見てみましょう。クライアントからシステム開発の案件を受注すると、おおまかに次の流れでシステム開発が進んでいきます。
システム開発の工程のうち、システムエンジニアが主に担当しているのは、上流工程と呼ばれる「要件定義」「基本設計」「詳細設計」、および納品前の「テスト」部分です。
システム開発と聞くと、パソコンに向き合いながらコードを打ち込み、プログラムを構築していく風景が連想されるかもしれませんが、実際には開発に至るまで、クライアントと打ち合わせを重ねることが必要です。クライアントがどのようなことに課題を感じており、その課題を解決するにはどのようなシステムが最適なのか。また、自社が提供できる技術で、どのようなシステムをクライアントに提案できるか。クライアントが課題解決に至るまでのシステムを提案し、責任をもって納品することが、システムエンジニアの仕事です。
システムエンジニアとよく混同されがちなのがプログラマーです。システムエンジニアは、要件定義と基本設計、詳細設計からプログラムの仕様書を作った後、その仕様書をプログラマーに渡します。プログラマーは、その仕様書を元にプログラムを構築していく仕事です。
同じシステム開発に携わる仕事でも、クライアントとプログラマーの橋渡し役をするのがシステムエンジニアで、実際にコードを書いてプログラム開発をするのがプログラマーという違いがあります。しかし、企業によっては、システムエンジニアがプログラムを組んだり、プログラマーがクライアントとの打ち合わせに参加したりするなど、お互いの活動分野が被っていることも多いです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2019年度)によると、SEの平均年収は約569万円程度※となっています。
参考:厚生労働省『賃金構造基本統計調査 2019』(※きまって支給する現金給与額380.0千円×12か月+年間賞与その他特別給与額1129.0千円)
しかし、同じシステムエンジニアでも、基本設計までしか担当しなかったり、反対に全ての工程を任されたりと、案件や企業が定めた役割分担によって業務内容が違ってくるため、年収も変動します。また、経験年数によって年収が左右される傾向にあり、20代でもらえる年収は平均よりも低い可能性があります。年収をアップさせるには、実績をつくって付加価値を身に付けることがカギになってくるでしょう。
システムエンジニアの仕事や年収について解説しましたが、やりがいや魅力はどのようなところなのでしょうか。具体的な業務やそこで必要とされるスキルにも触れながら、システムエンジニアが感じられる5つのやりがい・魅力を解説します。
システム開発のプロジェクトが立ち上がってから納品されるまで、システムエンジニアはクライアントと何度も打ち合わせを重ねます。そうして完成したシステムがクライアントの課題解決につながったとき、長く関わってきたクライアントから感謝の言葉をかけられると、「やってよかった」と感じることでしょう。システムエンジニアは、クライアントの要望を詳細に聞き、行動に移せるコミュニケーション能力が求められますが、たくさんの人と接するのが好きな人にとっては、向いている仕事と言えます。また、納品まで責任を持ってマネジメントする能力も求められる仕事です。
システムエンジニアは営業職的な側面もありますが、技術職としてモノづくりに関われる仕事でもあります。たとえば、仕様書の作成であれば、クライアントにヒアリングしながら、システムの完成イメージを0から形にしていきます。クライアントによって抱えている悩みが違うので、過去に作成したシステムがそのまま使えるとは限りません。技術変革が激しいIT業界では、新しい技術を取り入れて、より処理速度が速くシンプルな業務工程にまとめるような創意工夫も必要になります。
毎回違ったシステム開発に携われるので、対人スキルだけでなく技術面でのスキルアップも望めることと、完成したときの達成感を味わえることは、システムエンジニアならではのやりがいだと言えるでしょう。
システムエンジニアは、未経験OKの求人もたくさんあります。IT業界は慢性的な人材不足なので、未経験や異業種からの参入者が多いのが特徴です。システムエンジニアも同様で、入社後に必要な知識を身に付けることを前提としている企業では、経験を問わず採用をしているところも少なくありません。そのため、ITの基礎知識と適性があれば、未経験でもシステムエンジニアに転職できる可能性があります。特に、20代前後の若い世代は、入社後の成長が期待できるポテンシャルの高さが武器です。
採用担当からすると、未経験者を選考する場合、就職後も熱意を持って学び続けられるのかといった学習意欲も判断材料の1つになります。応募の際は、学習意欲とポテンシャルの高さを合わせてアピールできれば、合格率をさらに上げられるでしょう。
システムエンジニアに限らず、IT系の職種には理系しか就けないイメージがあるかもしれませんが、実際は文系理系を重視しない傾向が高いです。
文部科学省が行った『令和2年度学校基本調査』によると、大学卒業後に「情報処理・通信技術者」に就いた人の中で、文系学部(人文科学・社会科学)出身者は全体の約45%という結果でした。また、IPA(情報処理推進機構)の『IT人材白書2018』によると、「新卒採用において文系理系にこだわらない」と回答した企業は半数以上となっています。
参考:文部科学省『学校基本調査 / 令和2年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 大学』
参考:IPA(情報処理推進機構)IT人材白書2018
特にシステムエンジニアは、システム開発の中でも、上流工程とよばれる対人折衝の機会が多い領域を担当します。クライアントが抱える課題からシステムに対するニーズを細かく聞く仕事なので、文系だからと引け目に感じることなく、コミュニケーション能力も含めて自己アピールしていきましょう。
システムエンジニアへのニーズは、今後も高まると言えるでしょう。経済産業省の試算によると、IT人材は2030年に最大で約75万人が不足するという予測結果が出ています。加えて、コロナ禍による企業の急速なDX化により、既存のシステムの更新や新たなIT技術の活用に取り組む企業が増え、社内SEを始めとしたシステムエンジニアの市場価値が高まってきています。需要に対して供給が少ない状況なので、システムエンジニアの将来性は高いと言えるでしょう。
参考:IT人材白書2020
将来を考えると、システムエンジニアに就いた後のキャリアプランについても知っておきたいですよね。5年後10年後はどのような働き方を目指せるのか、システムエンジニアのキャリアパスの例を紹介します。
ITスペシャリストとは、経済産業省が定めたIT関連サービスのスキル体系において、いずれかの分野でレベル3以上を満たしている人のことです。専門分野は、プラットフォーム・ネットワーク・データベース・アプリケーション共通基盤・システム管理・セキュリティの6つあります。IT技術の設計・構築・運用スキルのいずれかに特化して専門家になりたい、という方に向いている職業で、専門スキルを活かして独立する道もあります。
システムエンジニアの仕事が合っているという方は、上級職であるITコンサルタントを目指すのもいいでしょう。クライアントの課題解決のため、システムエンジニアはシステムを作り上げることが仕事となりますが、ITコンサルタントは経営層に専門的な立場からの提言をすることが仕事となります。システムエンジニアの提案内容は、自社で開発するシステムの範囲内に限られますが、ITコンサルタントの場合はシステム開発に最適な事業者に外注するといった、クライアントのニーズを汲んだ幅広い提案ができるのが魅力です。課題解決に取り組むことが好きな方に向いている職業と言えるでしょう。
プロジェクトマネージャーとは、メンバーの進捗状況を管理しながら、システム開発の要件定義から納品までをマネジメントする職業です。一般的なシステムエンジニアは、システム開発プロジェクトのうち任された範囲のみを担当しますが、プロジェクトマネージャーは責任者としてシステム開発全体を見渡す必要があります。実際に作業を行うわけではありませんが、予算の管理や人員の確保、スケジュールの調整など、プロジェクトを計画通りに進めなければなりません。リーダーシップに自信がある方に向いていると言えるでしょう。中小のSIerから大手のSIerへとキャリアアップする道を目指せます。
システムエンジニアは、特別な資格を持っていなくてもなれる職業ですが、ITの基礎知識があると、より転職の成功率を上げやすくなります。たとえば、資格取得によって基礎知識を体系的に学ぶことが可能です。ここでは、システムエンジニアを目指すIT初心者の方に向けた、就職活動に役立つ資格について紹介します。
基本情報技術者試験とは、情報処理技術者試験という国家試験の1つで、ITの基本知識や論理的思考力、マネジメント力を問う資格です。IT技術者の登竜門のような存在で、合格すると経済産業省から一定の情報技術を持つ者として認められます。現役のエンジニアだけでなく、これからエンジニアを目指す人やIT企業に就職したい方におすすめの資格です。
オラクルマスターとは、Java言語の開発元であるOracle社が認定する資格で、Javaに関する知識・技術を問う国際資格です。難易度に応じてブロンズ<シルバー<ゴールド<プラチナの4つのランクがあり、Java初心者は、まずはブロンズもしくはシルバーの試験合格を目指すのが一般的です。システムエンジニアはシステム開発に関わる職業であること、Java言語の知識は他のプログラミング言語に応用しやすいことを考えると、オラクルマスターの資格取得によって、就活を有利に進められる可能性が高いでしょう。
システムエンジニアとはどのような職業なのかを解説してきましたが、実際に未経験からシステムエンジニアになるにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、未経験からシステムエンジニアを目指すための手段について紹介します。
「自分と相性の良い企業を探したい」という方は、転職エージェントに相談するのがおすすめです。相談者のこれまでの経験と理想の働き方を聞き、自社に登録された様々な企業とのマッチングを図ってくれます。社風に合っているか、といった企業のリアルな情報も伝えてくれる転職のプロなので、一人で就職活動するのが不安な方にとって心強い味方となってくれるでしょう。
「ITの基礎知識を勉強してから就職・転職したい」という方は、専門のプログラミングスクールに通う方法もあります。プログラミングスクールによっては、就職・転職サポート付きの学校もあるので、基礎的なITスキルを学んでから就職することも可能です。学習状況や意欲、ポテンシャルをアピールし、他の応募者と差をつけやすくなるので、より就職の成功率を上げられるでしょう。
学舎さくらは、未経験からITエンジニアを目指す方のための無料就職付きプログラミングスクールです。わたしたちの会社は高知県にありますが、授業は完全オンラインのため全国どこからでも受講可能で、就職支援は首都圏も対象です。毎月web説明会を設けていますので、どのようなささいなことでもお気軽にお問い合わせください。
出典:学舎さくら
システムエンジニア(SE)は、クライアント企業のニーズに応えるべく、プログラマーとともにシステム開発を支える存在です。IT人材の不足や企業のDX化を考えると、今後もますます需要が高まる仕事だと言えるでしょう。システムエンジニアは未経験からでも目指せますが、仕事ではコミュニケーション能力だけでなく、ITの基礎知識も必要です。システムエンジニアに興味が湧いたのであれば、資格取得を目標にするといった、ITの基礎知識を身に付けるところからスタートしましょう。
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