2023年4月18日
|2023年5月16日
一般的に、給料が高くない、誰でもできるような仕事、イメージが悪い、スキルが身につきにくいような職業を「底辺職」と呼ぶことがあります。2021年には「底辺の仕事ランキング」の記事が大炎上するなど、ランキングに記載された職業の人たちからのクレームが相次ぎました。もし、自分の興味がある職業が「底辺」と呼ばれていると知ったら不安になりますよね。
インフラエンジニアもネット上では「底辺」「きつい」「やめとけ」など、ネガティブな言葉が使われることがあります。この記事では、その理由を明らかにし、インフラエンジニアの魅力も知ってもらうと共に、底辺と言われない働き方や、未経験からインフラエンジニアになる具体的な方法についても解説します。
この記事の目次
インフラエンジニアは、ITシステムの基盤となる「ITインフラ」の設計・構築・保守・運用・監視を担当する職種です。
わたしたちは、Webブラウザやメール、SNSなどのアプリケーションといった、インターネットなどの通信とコンピュータなどの情報機器を組み合わせたITシステムを利用しています。これらのITシステムは、サーバやネットワークといった「ITインフラ」の上に成り立っています。つまり「ITインフラ」が整備されていなければ、普段みなさんが当たり前に利用しているメールやYouTubeなどは利用できません。インフラエンジニアがいかに私たちの生活に密接に関わっているのかがお分かりいただけるのではないでしょうか。
では、インフラエンジニアは「ITインフラ」をどのように支えているのか、業務内容を見てみましょう。
一般的に、設計や構築などを「上流工程」、運用・保守、監視などを「下流工程」と呼ぶことが多いです。未経験者は、運用や監視などの下流工程からキャリアをスタートし、経験を積んで設計などの上流工程にキャリアアップしていくのが一般的な流れとなります。
わたしたちの生活にITシステムは必要不可欠なものになっています。身近にあるITシステムでいうと、銀行のATM、航空券やチケットなどの予約・購入、ネットショッピング、メールやSNS、ゲーム、様々なアプリなど無数にありますが、いずれも利用できなくなると不便ですよね。日常的にITシステムを利用しているのは個人や企業だけではありません。今や医療の現場でも欠かせないものとなっており、ITシステムに障害が起これば人の命に関わることもあり得るでしょう。それだけ社会に大きく関わっているITシステムの土台を支えているインフラエンジニアの社会的意義は高く、底辺と呼ぶのは不適切であり、むしろ縁の下の力持ちといえるでしょう。
ここからは、インフラエンジニアが魅力的な仕事であるということを説明していきます。
IT専門の調査会社であるIDC Japan 株式会社が発表した国内ITインフラの市場予測では、2021年の同市場は前年比2.7%増の1兆7,575億円となり、2021年~2026年の年間平均成長率は 3.2%、2026年の同市場規模は2兆524億円と予測しています。
引用:「国内ITインフラストラクチャサービス市場予測を発表」IDC Japan 株式会社
ITサービスが私たちの生活に欠かせないものになるとともに、その土台となるITインフラの市場も拡大を続けています。また、時代の変化の中で技術が停滞することなく、クラウドといった新技術の普及も進んでおり、これからもインフラエンジニアは将来性があると言えるでしょう。
求人ボックスのデータによると、インフラエンジニアの平均年収は約540万円で、日本の平均年収と比較すると高い傾向にあります。国税庁の民間給与実態統計調査結果によると、令和3年度の平均年収は443万円なので、約100万円弱上回っています。
しかし、インフラエンジニアの平均年収の給与幅は広く、低い人で300万円程度、高い人で1,000万円程となっており、地域差や勤め先、経験やスキルなどによっても大きな差があるということを知っておく必要があります。未経験からスタートする人は最初から高収入は望めませんが、成長することで高収入も期待できるでしょう。
インフラエンジニアというと、専門職なので未経験で採用されるのは難しいように思われがちです。しかし、現在のIT業界では人材不足が深刻で、経済産業省のIT人材需給に関する調査報告書では、2030年までに高い需要を見込んだ場合、インフラエンジニア含むIT人材がおよそ79万人不足すると予測しています。
引用:「- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」みずほ情報総研株式会社
経験者を募集してもなかなか人材が集まらないため、自社でエンジニアを育成するために研修制度や資格取得などのサポートが手厚い企業も増えてきています。インフラエンジニアの場合、マニュアルが整備されている運用・監視からキャリアをスタートするのが一般的ですが、どのような条件の未経験求人が出ているか、実際に求人サイトで調べることでイメージを具体的にしてみましょう。
インフラエンジニアは専門的な知識やスキルを一度身につければ、案件が異なっても基本的な部分は大きく変わらないため転職もしやすく、スキルを多方面で活かすことが可能です。
わかりやすいキャリアパスとしては、下流工程から設計に近づくにつれ、サーバエンジニア、ネットワークエンジニア、セキュリティエンジニア、クラウドエンジニアといった専門に特化したITインフラのスペシャリストとして活躍することができます。その他にも、複数のスキルを身につけたフルスタックエンジニアとしての活躍、フリーランスとしての働き方、プロジェクトを統括するマネジメント職など、身につけるスキルによってキャリアパスの選択肢は幅広くあります。
世間で言われる「底辺職」には明確な定義もなければ、底辺職と呼ばれてよい職業が存在するわけでもありません。しかし、ネット上ではある特定の職業を底辺職と呼んでいます。そもそもなぜそういった偏見があるのでしょうか?考えられる要因を探っていきましょう。
一般的にサーバなどのITインフラは24時間365日休みなく稼働していることが多いため、「運用・保守・監視」担当になるとシフト勤務や交代勤務で業務にあたります。そのため、夜間や早朝、祝祭日関係なく勤務日であれば出勤しなければなりません。
また、どんなに綿密な設計や構築をしていてもシステム障害は発生します。大人数で対応しなければならないような大規模のシステム障害などが起きると、勤務日以外でも急に呼び出される場合があります。このような不規則な勤務体系や不定期の呼び出し対応のため、上司やクライアントに良いように使われるイメージを持っている方もいます。
私たちが何不自由なく日々使用しているITシステムの裏で、24時間365日休みなくインフラエンジニアが管理していることを知っている人は果たしてどれくらいいるでしょうか。ひとたび大きなシステム障害などが起きるとニュースになり、管理体制などが問題視される場合が多く、普段正常に使用できることは当たり前だと思われがちです。
開発エンジニアのように新しいものを開発したら脚光を浴びるような目立つ仕事ではなく、裏で支える「縁の下の力持ち」的な存在のインフラエンジニアは、表立って感謝される機会も少ないため、人によってはやりがいを感じにくい仕事かもしれません。
「運用・保守・監視」業務は、マニュアルが整備されていて専門知識なしで行える作業もあり、未経験者採用の求人も多く出ています。未経験者採用があることは、IT業界に興味がある方にとってはメリットなのですが、「誰でもできる仕事」や、個人の能力に依存しない「替えが効く」仕事とも捉えられがちです。
どのような業界でも未経験者であれば、そこから知識やスキルを身に着けて成長していくことが望まれますが、いつまでも替えが効く人材のままとなれば、「底辺」というイメージが付きやすくなります。
IT業界では「多重下請け構造」が常態化しています。元請け→下請け→二次下請けと下層企業にいけばいくほど中間企業にマージンを取られるため、安い給料になる傾向があります。未経験者採用で就職する場合は、求人数の多さから下請け企業に従事することも多いでしょう。こういった業界の構造からも、底辺というイメージは生まれてくるものと考えられます。
インフラエンジニアは技術職のため、実務経験や保有資格などでスキルを評価される傾向にあります。しかし、「運用・保守」や「監視」業務を、マニュアル通りにこなしているだけではスキルアップは難しいでしょう。社員教育に積極的な企業であれば別ですが、一般的にはマニュアルを元に自分が行っている業務の関連知識を深めたり、資格を取得したりするなどの自主的な努力が必要です。努力を怠ればスキルアップしづらいという点が、底辺というイメージに繋がるのかもしれません。
需要のあるインフラエンジニアとして高度な仕事を任されたいのであれば、スキルや知識の習得と、それらを会社に評価してもらうことが不可欠となりますので、ここでは下流工程から上流工程を目指すための方法をいくつかご紹介します。
インフラエンジニアになるために必要な資格はありませんが、実績がない未経験からの就職や、スキルアップを目指すためには、資格の取得が有効です。また、資格は自分が持っているスキルを客観的に示すこともできます。ここでは、インフラエンジニアに関係のある未経験者向けの資格を4つ紹介します。
「運用・保守・監視」では、マニュアル通りに作業する業務が多いですが、いつまでもマニュアル業務を続けているだけではキャリアアップや年収アップは望みづらいでしょう。
マニュアル通りに作業を正確に行うことも大切ですが、より専門的な業務に携われるように、マニュアルに関連している知識への理解を深めていきましょう。そして、自分が知識を持っていることを上司や会社に認めてもらうことが大切です。上司への質問や相談、システムトラブル時の対応、後輩の育成など、積極的にコミュニケーションをとってアピールしていきましょう。努力にもかかわらず、いつまでも状況が変わらないのであれば、転職によるキャリアアップも選択肢となります。
未経験採用も多いインフラエンジニアですが、どうやって求人を探せばいいのか分からない人もいるでしょう。ここでは、未経験からインフラエンジニアになるための具体的な方法を3つご紹介します。
インターネット上には多くの「求人サイト」があり、IT業界やエンジニアの就職・転職に強い求人サイトもあります。大手求人サイトIndeed(インディード)では、「インフラエンジニア 未経験」で検索するとおよそ19万件もの求人(2023年3月23日現在)がありますので、求人を探すこと自体はそれほど難しくはありません。
求人数が多いと、自分にあった優良案件を探し出すのは不安があるかもしれません。IT業界未経験であれば、企業の良し悪しが判断しづらいということもあるでしょう。
そういった方の味方になってくれるのが、就職・転職エージェントです。就職や転職を希望する人に専任のアドバイザーが付き、希望する条件の求人先を紹介してくれます。また、履歴書やエントリーシートの添削、面接対策といったこともサポートしてくれます。エージェント企業は紹介先の企業から紹介料をもらっているため、基本的には無料で利用できる場合が多く、また紹介企業は紹介料を払えるだけの規模の企業であるという安心感もあります。
IT業界で働いた経験もなく、インフラエンジニアに必要な知識やスキルもまったくない状態で就職するのが不安な人もいるでしょう。そんな方には、インフラエンジニアに必要な知識を学べて、さらに就職・転職サポートまでしてくれるスクールに通うことをおすすめします。いまや数多くのスクールが存在し、自分が目指すエンジニア専門のカリキュラムが組まれている講座、就職できなければ受講料が全て返金される「就職保証制度」を設けているスクールや、費用が高いイメージのスクールの中にも無料で受講できるところもあります。数多く存在するスクールの中から自分にあったスクールを探すのは大変かもしれませんが、関連記事を参考にして自分に合ったスクールを見つけましょう。
「学舎さくら」は、就職直結型のプログラミングスクールで、完全無料で受講できます。ITエンジニアコースには、インフラエンジニアを目指す「インフラ専攻」とプログラマを目指せる「プログラミング専攻」の2つがあります。インフラ専攻では、豊富な教材や問題集を使用し、最短2ヶ月で実務に携われるインフラエンジニアを目指します。ここでは、「学舎さくら」をおすすめする理由をいくつかご紹介しましょう。
Linux、ネットワーク、セキュリティ、PostgreSQLなど基礎から実践まで80以上の教材と100以上の問題集を使って学習します。未経験からでもおよそ280時間の研修を通して実務に携われるインフラエンジニアを目指します。
提携先企業の紹介料で運営しているため受講料は不要、途中でやめても違約金などもかかりません。完全オンライン制なので全国どこからでも受講可能、テキスト代も一切不要です。
通常、Linux試験の「LinuC」の受験には、16,500円(税込)の受験料が必要となりますが、学舎さくらの受講生は、一定条件を満たすことでLinux試験の「LinuC」を無料で受験することが可能です。
プロ講師が受講生個々のレベルに応じた相談にのりますので、知識ゼロの初心者でも安心して受講できます。チャットツールなどを使用して質問できますので、あなたの「わからない」や不安に思っていることを専属の講師にご相談ください。
あなた専属のキャリアアドバイザーが履歴書などの添削や、面接対策、企業紹介までサポートします。紹介可能企業はなんと首都圏を中心に3,500社以上!
業務や業界の特徴、未経験者でもなりやすいなどの点から、悪いイメージを持っている方もいますが、ITシステムの土台を支えているインフラエンジニアは、社会的意義が高く、魅力的な職種です。国内のITインフラ市場も拡大を続けており、これからもインフラエンジニアは将来性がある職種の1つであるといえます。
スキル次第でキャリアアップができる技術職にもかかわらず、未経験からキャリアを積めることは大きな特徴ですので、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。
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