2023年1月31日
|2023年5月16日
インフラエンジニアに興味をもって情報収集していくと、「楽」や「きつい」といった相反する意見を目にします。しかし、インフラエンジニアの業務は、マニュアルがあれば未経験者でもできる比較的単純な業務から、高度で専門的な知識や技術が求められる業務まで幅広くあり、個人の適性なども併せて考えると、就職する前から一概に「楽」か「きつい」かを結論付けることは難しいでしょう。
「楽という意見を目にしたから」という理由で就職すると、実態とのギャップから後悔するかもしれません。この記事では、インフラエンジニアの業務内容についてまず理解し、その業務内容を踏まえて、なぜ「楽すぎ」「きつい」などと言われているのか、その理由を解説していきます。インフラエンジニアになるために必要なスキルや、インフラエンジニアのキャリアパスなどについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
インフラエンジニアは、ITサービスの基盤となるサーバーやネットワークといったITインフラの設計・構築・運用保守・監視を主な業務としている職業です。扱っているITシステムの規模にもよりますが、一人ですべての業務を行っているわけではなく、基本的には担当に分かれて業務を行っています。
インフラエンジニアの主な業務
設計 | 顧客の要望をヒアリングし、要望に沿ったITインフラを作るための設計書や仕様書を作成する |
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構築 | 仕様書や設計書通りにネットワーク機器の設置、接続、設定やサーバーの構築などを行う |
運用・保守 | システムを安定稼働させるため、問題発生時の対応やメンテナンスなどを行う |
監視 | システムが正常に稼働しているかを監視し、問題があれば報告をする |
設計は、顧客の要望をヒアリングし、要望にそったシステム環境を設計します。ITインフラや機器に関する専門的な知識だけでなく、不足している情報を顧客からうまく引き出すためのコミュニケーション能力も不可欠です。必要な情報を全て把握した上で構築すべきITインフラの方向性を定め、設計書を作成し、その後、検証作業や作業手順書を作成します。
構築は、設計書や仕様書に従いIT機器を設置し、設定や接続作業を行います。設計書通りに構築しても正常に稼働しないケースも多くあるため、取り扱うマニュアルをしっかりと読んで理解する力や、ITインフラ全般の専門知識が必要とされます。未経験者がいきなり構築を任されることは少なく、監視や運用保守業務の経験を積んでから構築にキャリアアップするのが一般的な流れです。最近ではクラウドの出現により、実機の設置や設定作業がなく、クラウドの知識を習得してWeb上で設定作業をすることも増えています。
運用・保守は、システムの定期的なメンテナンスやソフトウェアのアップデート、アラート(警告メッセージ)の対応などを行います。運用・保守の業務ではマニュアルが整備されていることが多いですが、マニュアル通りに操作してもアラートが消えない場合は、自分で原因を探り、不具合の修正や復旧作業を行わなければなりません。そのため、監視業務よりも自分で考える力や技術力が求められます。
監視は、運用・保守業務の中において、システムにトラブルがないか稼働状況を監視する仕事です。簡単なアラートであればマニュアル通りに対応することもありますが、アラートが消えなければ管理者に報告します。自身に高度な専門知識が求められることはないため、未経験者でも携わりやすい業務と言えます。
インフラエンジニアの業務は、マニュアル対応できるものから、高度な専門知識が求められるものまで難易度が大きく異なり、一括りに判断できるものではありません。では、インフラエンジニアが「楽」だと言われているのは、どの業務のどういった部分なのでしょうか。業務内容ごとに、他のITエンジニアとも比較しながらその理由を探ってみましょう。
インフラエンジニアは、未経験者の採用求人も多く出ています。未経験者がインフラエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる場合、サーバーやネットワークの監視業務に従事することが多くなります。監視業務には基本的にマニュアルがあり、決まった時間にマニュアルや作業手順書にそって確認作業などを行えばよいので未経験者でも可能な仕事です。アラートが出てもマニュアル通りに対応し、アラートが消えなければ管理者に報告すればよいため、ITインフラに関する高度な知識やスキルは求められない傾向にあります。
運用・保守業務においても、トラブルがなければ基本的にはマニュアル通りの作業であり、一度業務を覚えてしまえば毎日同じことの繰り返しのため「楽」だと感じる人もいるでしょう。
ITインフラは24時間365日稼働しているため、監視や運用・保守を担当する場合はシフト制や交代制であることが多いです。シフト制や交代制の場合、退勤時刻になれば後任者と交代するため、定型の業務であれば後任者に引き継ぎができ、残業が少ないと言われています。差し迫る納期や予期せぬエラー修正によって、残業が多い案件に携わった開発エンジニアからすれば、楽に見えるかもしれません。
インフラエンジニアは構築の際、顧客の要望にそったインフラ環境を作るために既存の技術とサーバーやルーター、スイッチなどのIT機器を組み合わせて完成させます。毎回新たな技術が必要とされるわけではなく、機器を組み合わせる際の手順などは似てくる部分が多いので、0から何かを作り上げるようなことはあまりありません。
開発エンジニアは案件によって作るものが違ったりプログラミング言語の主流が変わったりすると、その都度新たなプログラミングスキルを習得していく必要があります。しかし、インフラエンジニアが取り扱うサーバーやネットワークなどのITインフラに関する知識や技術は、案件が異なっても基本的な部分は大きく変わらないため、設計や構築で経験を積んで1度身につけたスキルは長く活かしやすいと言えます。
インフラエンジニアは「楽すぎ」だと言われている反面、インターネット上では「きつい」「やめとけ」など真逆のキーワードも出てきます。結局楽なのかきついのかどっちなの?と混乱している人もいるでしょう。ここでは「きつい」と言われている理由について解説していきます。
監視や運用・保守を担当する場合、シフト制や交代制で残業が少ないというメリットがある一方、深夜帯や早朝、休日の勤務があり、体力的にきついと感じる人もいるでしょう。トラブル対応を担当していれば、出勤日以外での呼び出しや、取引先からの早急な対応を強いられることもありえます。そのため、プライベートの確保が難しく、長期の休みなどが取りづらいなどを理由に「きつい」と感じる人もいるようです。
インフラエンジニアは、業務の専門性が高まるにつれ「サーバーエンジニア」や「ネットワークエンジニア」、「セキュリティエンジニア」などと細分化されて呼ばれることも多く、取り扱うITインフラが多岐にわたることを物語っています。そのためITインフラに関する幅広い知識が必要とされるうえに、最近ではクラウドに関する知識も問われるようになってきました。
ITインフラに関する知識は長く活かしやすいとはいえ、インフラエンジニアは専門的知識をもって業務にあたる技術職です。最新技術や最新機器に関する知識や技術を身につけるための学習は継続しなければならず、継続的な学習が苦手な人や、新しい情報に疎い人などはきついと感じるかもしれません。
インフラエンジニアの作業場であるサーバールームは、適性温度を保つために1年中冷房をきかせている場合が多いです。IT機器は高温になりすぎると熱暴走と言って突然電源が落ちたり、エラーが頻出したりと不具合の原因になるため、冷房などで冷やして熱を逃がしてやる必要があります。そのため、冷え性の人や寒いところが苦手な人などには、空調がきいている環境で常に仕事をするのはきついと感じるかもしれません。
インフラエンジニアという職業ではなく、入社した会社の働き方がきついという場合もあります。ギリギリの人員で仕事をまわしているような企業に入ってしまうと、勤務日以外の出勤や残業を強いられたり、有休休暇を使いづらかったりと、きついと感じる場合もあるでしょう。入社する企業がどのような企業かを見極めるためには、給与や福利厚生、勤務条件などしっかり確認し、不明点があれば明確になるまで担当者に質問してみてください。転職エージェントや、就職支援付きのプログラミングスクールなどを利用すれば、キャリアコンサルタントから紹介先企業の実情を聞くこともできます。
インフラエンジニアの仕事には、楽だと感じやすい面もあれば、きついと感じてしまう要因も存在します。
仕事の難易度や責任で判断するのであれば、未経験者にも任せられるような業務は楽ですが、トラブル対応や構築、設計と難易度が高い業務を目指すにつれて「きつさ」は増していくでしょう。しかし、結局のところ楽な仕事では、高い収入や将来性は望めません。安定した収入やエンジニアとしての価値を手に入れたいのであれば、現状に満足せず専門知識や技術を習得する自己学習が必要になってきます。
また、インフラエンジニアが扱うサーバーやネットワークは、ITサービスを提供する上で土台となる部分です。この土台となる部分に障害が起きれば、ITサービス全体が機能しなくなりますので、インフラエンジニアの仕事には大きな責任が問われます。
個人の適性が合わない場合なども考えられますので、自分がインフラエンジニアに向いているかが気になる方は、次の記事を参考にしてください。
では、実際にインフラエンジニアとして監視や運用・保守の業務に従事している人は、キャリアアップについてどのように考えているのでしょうか。
株式会社ブレイバンステクノロジーズが「インフラエンジニアのキャリア」に関する実態調査を行った結果では、「監視・運用・保守」を担当しているおよそ6割の人が「設計や構築に携わりたい」と回答しています。
その理由として一番多かったのが「キャリアアップのため」で、設計や構築に携わるために「マニュアル精読」や「資格取得」など自己学習をしている人が6割を占めていました。
インフラエンジニアとしてのスキルが習熟してくれば、設計や構築といった上流工程に携われるようになりますが、ここではさらにその先の、インフラエンジニアからのキャリアパスを3つご紹介しましょう。
インフラエンジニアとして身につけた知識やスキルを活かして、開発プロジェクトの「まとめ役」としてプロジェクトマネージャーになるというキャリアパスがあります。プロジェクトマネージャーは、開発プロジェクトの責任者であり、プロジェクトの管理(プロジェクトメンバーの選定、予算管理、スケジュール管理、進捗管理など)全般を行います。
不足するIT人材の中でも特に需要が高い職業であり、情報処理推進機構社会基盤センター(IPA)が調査したDX白書2021においては、多くの企業がプロジェクトマネージャーの不足を回答しています。プロジェクトを率いる立場として、コミュニケーション能力やリーダーシップ、管理能力などのスキルが求められますが、責任が伴うだけあって年収は高い傾向にあります。
出典:IPA|DX白書2021
システム開発では、ユーザの目に触れるインターフェースや、サーバーで動作するプログラム、データベースやネットワークといったように、いくつかの専門的な知識が必要となってきます。通常、これらは担当を分けて開発していくのですが、複数の開発部分に携われるエンジニアのことを、フルスタックエンジニアと呼びます。インフラエンジニアとしてのスキルを核としながらも、プログラミング言語の習得をして他の開発を行えるようになることで、フルスタックエンジニアを目指すことができるでしょう。
インフラの知識を持ったフルスタックエンジニアとなれば、企業としては障害によるトラブルを回避しやすく、開発スピードも向上させることができます。また、スタートアップ企業やベンチャー企業にとっては、たとえ高い年収を支払っても、2人分の人件費よりは低く押さえることができるため、需要が高い人材となります。
インフラエンジニアとして身につけたスキルを活かしてアドバイザーとして活躍したいのであれば、ITコンサルタントを目指すことができます。ITコンサルタントとは、顧客企業が抱えるIT分野の問題に対してリサーチを行い、IT技術を駆使して問題の原因を分析、解決策を導き出し、システム導入やシステムの改善など実務的なサポートまで行います。また、経営戦略などビジネスに関する部分も同時に解決しなければならないため、IT全般的な知識に加えてビジネスに関する知識、問題を根本から解決するための論理的思考力やコミュニケーション能力などのスキルが必要です。
インフラエンジニアのキャリアパスは、監視や運用・保守といった業務から始まり、知識と経験を積みながら構築、設計といった業務への関わりを目指すのが一般的な流れです。とはいえ、キャリアアップは自動的に行われるというよりは、自ら行動しアピールしていくことが重要となりますので、監視や運用・保守業務からキャリアアップするために必要な知識と、知識の習得に役立つ資格をご紹介します。資格取得は、インフラエンジニアの仕事の理解や自分の適性判断にも役立ちますので、就職前に取り組んでみるのもおすすめです。
設計や構築業務などにキャリアアップしたいと考えているのであれば、サーバーやネットワークなどインフラ関連の知識向上は不可欠です。資格取得を通じて知識を習得し、自宅サーバーを構築するなどの実践を通じて自分のスキルとしていくことが可能です。
基本情報技術者試験(FE)は、経済産業省が情報処理技術者としての知識・技能が一定水準以上身についていることを認定する国家試験で、「ITエンジニアの登竜門」と言われています。プログラミング、ネットワークやセキュリティなどIT全般に関する基本的な知識やスキルを学べるため、IT関連の知識を基礎から学びたい初学者におすすめです。インフラエンジニアに必要なネットワークやサーバーなどITインフラに関連する知識も含まれているため、取得しておいて損はないでしょう。
シスコ技術者認定(CCNA)は、ネットワーク機器メーカーのシスコシステムズ社が実施している技術者認定資格の一つです。試験内容は、ネットワーク・セキュリティの基礎、ネットワークアクセスやIP接続・サービスなどで、主にネットワークに関するものになっているため、ネットワークエンジニアを目指している人におすすめです。
Linux技術者認定試験(LinuC)は、LPI-Japanが実施しているLinux技術者認定資格の一つです。LinuxはWindowsやMacOSなどのOSの一つで、サーバーの構築などに使われています。そのため、サーバーエンジニアを目指している人におすすめの資格と言えるでしょう。LinuCは、レベル1〜3まであり、レベル1では主にサーバーの構築や運用・保守のレベルが認定されるため、初学者はまずレベル1から挑戦してみましょう。
ORACLE MASTER(オラクルマスター)は、日本オラクル社が実施するOracle Databaseシリーズの技術者認定資格の一つです。Oracleはデータベースの一つで、大規模システムでよく使用されており、シェア率も世界トップレベルを誇っているため、ORACLE MASTERの資格を取得しておくとデータベースエンジニアを目指している人には有利でしょう。レベルは4段階あり、いきなり上のレベルから受験することはできないため、まずはもっとも簡単なORACLE MASTER Bronze DBA(オラクルマスターブロンズDBA)から挑戦しましょう。ブロンズの試験内容としては、データベースの作成や運用・保守などデータベース管理者に必要なスキルが問われます。
従来では、自社内に機器を構えて運用する「オンプレミス」が主流でしたが、最近では全てインターネット上で完結でき、コストもオンプレミスに比べて安価に抑えられる「クラウド」を取り入れる企業が増えてきました。IDCJapanによると、国内のクラウドサービス市場は2021年から2026年まで拡大すると予測しており、インフラエンジニアとして幅広く需要を持つためには、クラウドに関する知識や技術を身につける必要があります。
参考:「国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表」IDCJapan
アマゾンウェブサービス資格(AWS)は、アマゾンが提供するクラウドコンピューティングサービスに関する知識を認定する資格試験で、クラウドエンジニアを目指している人におすすめです。レベルは3段階あり、最も易しいレベルのAWS 認定クラウドプラクティショナー(AWS Certified Cloud Practitioner)は、およそ半年のAWS利用経験により得られるクラウドの基礎知識や業界知識を学べるため、初学者はまずこの資格取得から目指しましょう。
楽かどうかにかかわらず、インフラエンジニアは魅力のある職業です。インフラエンジニアに興味があれば、インフラエンジニアに必要な知識や技術を学べるプログラミングスクールで実際に学んでみてはいかがでしょうか。ここでは、プログラミングスクール「学舎さくら」をお勧めする理由をいくつかご紹介します。
「学舎さくら」では”インフラ専攻”と”プログラミング専攻”の2つのコースをご用意しています。インフラ専攻では、最短2ヶ月の研修で未経験から実務可能なインフラエンジニアを目指すことができます。
Linuxやネットワーク、セキュリティ、クラウド、PostgreSQLなど、基礎から実践まで 80以上の教材と100以上の問題集が用意されています。
入学金も不要、万が一途中で辞めた場合でも違約金や解約金など一切かからず、講義も完全オンライン制なのでテキスト代なども不要です。 (ただし、通信費は自己負担)
通常、Linux試験の「LinuC」の受験には、16,500円(税込)の受験料が必要となりますが、学舎さくらの受講生は、一定条件を満たすことでLinux試験の「LinuC」を無料で受験することが可能です。
完全オンライン制のためパソコン1台と通信環境さえあれば全国どこからでも受講できます。
何から勉強を始めたらよいのか分からないような初学者でもついていけるように、チャットツールを通して質問できる環境が整っています。初学者でも個々の生徒さんのレベルにあわせた講師陣のサポートが受けられます。
マンツーマンで一人一人に専属のキャリアアドバイザーがつくため、どんなエンジニアになりたいのか、どんな企業で働きたいのか、あなたの希望をとことんお聞かせください。首都圏を中心とした3500社以上ある紹介可能企業から、なたの希望に近い企業をご紹介します。また、企業紹介のみならず、必要書類の書き方指導や添削、模擬面接やビジネスマナーまでサポートします。
インフラエンジニアに関して、インターネット上では「楽すぎ」「きつい」など色々な意見がでていますが、「インフラエンジニアが楽そうだから」という理由で選択するのはおすすめしません。たしかに、監視や運用業務といった未経験者でも就職しやすい業務はありますが、インフラエンジニアとしての業務は多岐にわたり、将来を考えてキャリアアップを目指すのであれば、努力を続ける必要があります。
しかし、未経験者でも就職できる環境にあり、実務を経験しながらスキルを積み上げていけることはインフラエンジニアの大きな魅力です。「学舎さくら」では、インフラエンジニア専用のカリキュラムを準備し、個々の生徒のスキルにあわせて講師陣のサポートが受けられます。入学は毎月受け付けているので、まずは説明会に参加してみてください。
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