2021年4月6日
|2022年7月4日
就職を意識し始めると耳にするのが、「文系は営業以外に就職できない」「文系は営業に配属されることが多い」といった情報。就活を控えている文系の学生にとっては他人事ではなく、ましてや、営業職には絶対なりたくないと思っている人にとっては絶望感しかないのではないでしょうか。実際のところはどうなのでしょう?
この記事では、営業以外の就職を考えている文系就活生に向けて、文系が営業以外に就くのが難しいと言われる理由や文系におすすめの仕事、営業以外に就職したい場合の対策などを解説しています。事前に対策に取り組んで、自分に合った就職を目指しましょう。
この記事の目次
文系の主な就職先としては、金融業、サービス業、メディア、教員、保険、製造業など多岐にわたりますが、「文系は就職に不利」「文系は営業以外に就職するのは難しい」と言われることが多いです。なぜそのように言われるのか、次の3つの理由が考えられます。
配属先は、どの程度「実務的なスキル」を持っているのかで決まることがほとんどです。理系は在学中に専門知識を身につけていることが多いのに対し、文系は専門的な技術を学ぶことが少ないため、営業に配属されることが比較的多くなります。ただ、新卒の場合は、理系や文系に関係なく営業に配属する傾向があり、実際に営業として現場に出ることでビジネスマナーを身につけたり、事業内容への理解を深めたりすることを目的としていることが多いようです。
「理系のほうが仕事に就きやすい」「文系だと就活が大変」とも言われることから、文系よりも理系のほうが就職に有利と思い込んでいる方が多いです。内定時期も文系と比べて理系のほうが早いため、就職しやすい印象を持たれやすいのが思い込みにつながっている可能性があります。しかし、厚生労働省と文部科学省が共同で調査を行った「令和2年3月大学等卒業者の就職状況」では、文系の就職率は97.8%、理系の就職率は98.5%と大きな差はなく、就職の有利、不利はあまり関係ないといえます。
参考:2020年6月11日 令和2年3月大学等卒業者の就職状況を公表します- 厚生労働省
例えば、マーケティング職や企画職は、新卒社員者が配属されにくかったり、そもそも未経験者向けの募集が少なかったりします。これらの仕事は、顧客や取引先とのやり取りや事業内容を熟知していることが必要不可欠で、実際の現場で培った経験や知識が求められるため、新卒者が配属されにくいのが現状です。
「営業だけはやりたくない」「営業は自信がない」と不安になっている文系就活生は少なくないはず。さまざまな分野を学ぶ文系だからこその強みを活かせる仕事は他にもあります。ここからは、営業以外で文系におすすめの仕事を紹介します。
人と直接関わる仕事は、コミュニケーション能力や語学力が求められる場合もありますが、相手の喜びや幸福感をストレートに感じ取ることができ、「誰かのためになっている」ことを実感できます。例えば、次のような仕事があります。
客室乗務員
乗客が機内で快適に過ごせるようにサービスを提供したり、搭乗して降りるまでの乗客の身の安全を守る保安業務を行ったりすることで、乗客の不安を取り除いて安心感を与えられる仕事です。
ホテルスタッフ
旅行や仕事などのさまざまな目的で訪れた宿泊者を迎え入れ、ホテルでの時間を快適に過ごせるようにサポートしたり、宿泊者の目的に合わせて対応したりすることで、人々に癒しを与えられる仕事です。
ウェディングプランナー
人生のなかでも大イベントとなる結婚を控えるカップルの相談に乗り、より良い結婚式となるよう最善の案を提案したり、準備から当日までの管理業務を行ったりすることで、2人の幸せに貢献できる仕事です。勤務先には、ホテル、結婚式場、ウエディングプロデュース会社などがあります。
医療分野の仕事は、専門知識や技術が必要なものが多く理系のイメージが強いですが、文系でも就職できる仕事があります。医療、福祉、介護関係の仕事は、人の命や日常生活に深く関わることが多く、やりがいを感じることができます。例えば、次のような仕事があります。
医療事務
病院やクリニックなどの受付や会計、入退院の手続きなどを行う仕事です。正確性が求められる「レセプト業務(診療報酬の請求)」には専門的な知識やスキルが必要ですが、未経験者向けの求人も多くあり、働きながら専門知識やスキルを身につけることが可能です。
介護士
支援を必要とする高齢者や身体が不自由な人の要介護レベルに合わせて、身体介護や生活援助といった日常生活のあらゆるサポートを行う仕事です。体力を必要とすることも多いですが、利用者の喜びを間近で見ることができます。勤務先には、老人ホームなどの施設や利用者の個人宅、医療機関などがあります。
カウンセラー
相談者の心の問題に寄り添い、ストレスや悩みを相談者自身が解決できるように導く仕事です。不安やストレスを抱えるこの多い現代社会においてのニーズは増えており、個人での活動のほか企業や学校など、活躍の場は多岐にわたります。
社会貢献を目的としている企業は世の中に数多く存在しますが、利益を得ることが事業の根本にあります。しかし、なかには営利目的ではない仕事もあり、医療や福祉関係以外の仕事でも人に役立つ喜びを感じることができます。例えば、次のような仕事があります。
公務員
ひとことに公務員と言っても、国家公務員、消防士や警察官を含む地方公務員、国や地方自治体、国際機関などで公務を行う人を指します。すべての仕事が国民や住民、大切な人のために役立てるだけでなく、労働環境の良さやワークバランスの実現しやすさが魅力の仕事です。
教諭
勉強だけでなく、生徒である子どもたちに社会のルールや道徳を教え、個人の能力を伸ばして自立した人間へと導く仕事です。学校教育において長い時間を共に過ごす先生の影響は大きく責任は重大ですが、子どもたちの成長を間近に感じられ達成感を得ることができます。
NPO・NGO職員
NPO(非営利組織)・NGO(非政府組織)には大小いくつもの団体があり、エネルギー問題、動物保護、自然保護、人道支援など、社会問題の解決を目的に国際的な活動をしています。例えば、国境なき医師団、フリースクールの運営など、海外だけでなく身近な人や地域社会にも貢献できる仕事です。
どの分野においても資格の取得は簡単ではありませんが、文系で学んだ専門知識を活かせる仕事もあります。また、あらゆる業界でグローバル化が進むなか、語学力を求められる仕事が増えています。例えば、次のような仕事があります。
弁護士
個人や企業のトラブル、犯罪など多くの問題に対し、法律の専門家として依頼者に寄り添い、最善の解決方法へと導く仕事です。社会の公正さを保つ役割もあることから、社会貢献にもつながります。
通訳
通訳にはビジネス通訳、コミュニティー通訳、通訳ガイドなどいくつかの種類があり、どれも人と人とをつなぐことのできる素敵な仕事です。資格は必要ありませんが、TOEIC、英検、TOBIS(ビジネス通訳検定)などで実力が図ることができ、語学力以外にもそれぞれに応じた知識や能力が求められます。
学芸員
総合博物館、科学博物館、歴史博物館、美術館、動物園といった場所で、資料の収集や整理、展示、保管、調査研究などを行い、訪れる人にその価値について広く伝えていく仕事です。それぞれが扱っている分野に対しての専門的な知識を身につける必要があります。
技術的な職業として理系のイメージが強いですが、実際は文系も多く、将来性のある仕事として注目されています。現在、IT業界は深刻な人手不足が続いており、 採用の範囲を広げていることから未経験者でもチャレンジしやすくなっています。例えば、次のような仕事があります。
システムエンジニア
SEとも呼ばれ、システムの開発における要件定義や設計といった上流工程を行う仕事です。クライアントへのヒアリングや設計書の作成だけではなく、予算管理、人員管理、進捗管理といった全体のマネジメント業務を行います。プログラミング知識以外にヒアリング能力やコミュニケーション能力などが求められます。
プログラマー
コンピューターを動かすためのプログラミング言語を用いて、システムやソフトウエアを開発する仕事です。システムエンジニアが作成した設計書をもとにプログラミングを行ったり、システム上のバグを見つけて処理を行ったりします。プロジェクトごとに異なるプログラミング言語を使用するため、言語に対する専門知識が必要です。
Webデザイナー
クライアントが希望するイメージに合わせてWebサイトのデザインをする仕事です。インターネットの普及に伴い需要が増えている仕事のひとつでもあります。見た目を作るだけでなく、HTML、CSS、JavaScriptなどの言語を用いてコーディングを行う場合もあります。
営業が嫌だからといって、ただ無謀に営業以外へ就活を進めても採用にはつながりにくいでしょう。志望動機や周りと差のつくアピールポイントを明確にしておく必要があります。ここからは、文系が営業以外の就職を目指すなら具体的に何をすればいいのか、実際の就活に向けて知っておくべき対策3つについて解説します。
就きたい仕事について理解を深め、どんな適性が求められているかを把握するためには、実際に働いている人に話を聞くことが一番確実です。「どういった人材が求められているか」「どのような資格やスキルが必要か」「仕事に向かない人の特徴は」など、事前に情報収集しておくことで就活に向けて対策することができ、志望動機を作成しやすくなります。文系出身のOBやOG、またその知り合いなど、あらゆるつてを頼って積極的に情報収集を行いましょう。
目指す仕事によっては、学生のうちに資格を取得しておくことが就職に有利になる可能性があります。それぞれの資格によって難易度が異なるものの、取得までの勉強には苦労を伴うことが多く大変ですが、事前に資格を取っておくことで知識と熱意をアピールできます。例えば、次のような資格があります。
履歴書やエントリーシート、面接の「自己PR」は、選考結果を左右するといっても過言でないほどとても重要です。自己PRの内容が曖昧だったり、仕事と無関係だったりすると、採用担当者に全く響かないまま終わってしまう可能性があります。周りと差をつけ適性があることをアピールするためにも、その職種について詳しく知ることが必要です。例えば、経理職なら、「日商簿記検定の資格を持っている」「Office系のソフトを使いこなせる」など、志望する職種に合った自分の強みについて伝えられる自己PRを考えましょう。
文系や新卒は営業職に配属されやすい傾向がありますが、文系でも営業以外に就職することは可能です。しかし、営業以外の自分に合った仕事に就くためには、世の中に存在するさまざまな仕事について知る必要があるだけでなく、事前に求められている人材について調べたり、資格を取得したりといった、志望する仕事に合った対策に取り組んでおくことが大切です。文系だからと諦めず、自分らしく働ける就職を目指しましょう。
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