2022年9月7日
|2023年1月13日
IT技術者の総称である、ITエンジニア。気になる年収ですが、求人サイトの『求人ボックス』が、実際に掲載されている求人情報から算出した平均年収では、約497万円となっています(2022年9月時点)。
出典:求人ボックス給料ナビ「ITエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
日本の平均年収である433万円(参考:国税庁『令和2年分 民間給与実態統計調査』)と比べると高い傾向といわれていますが、ITエンジニアは職種やスキルなどの条件によって、年収に差がでてくる職業です。
ITエンジニアへの転職を考えるなかで、自分が目指すITエンジニアの年収について、参考の数字を知っておきたい方もいるのではないでしょうか。この記事では、ITエンジニアの平均年収について、職種やスキル、年齢など5つの観点で紹介します。ITエンジニアの将来性や年収を上げる方法についても紹介しているので、これからITエンジニアを目指して、今よりも収入を増やしたい方におすすめです。
この記事の目次
ITエンジニアといっても、仕事の内容や専門分野に大きな幅があり、さまざまな職種にわけられます。職種によって年収に差が出てきますので、経済産業省が平成29年に発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」を参考にITエンジニアの職種別の平均年収トップ10を見てみましょう。
順位 | 職種 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | ITコンサルタント | 928.5万円 |
2位 | プロジェクトマネージャー | 891.5万円 |
3位 | プロデューサー・ディレクター | 792.9万円 |
4位 | ITに関する業務の営業・マーケティング | 783.3万円 |
5位 | 高度SE・ITエンジニア (基板設計担当・ITアーキテクト) | 778.2万円 |
6位 | IT技術スペシャリスト (特定技術(DB・NW・セキュリティなど)) | 758.2万円 |
7位 | 営業・マーケティング | 682.1万円 |
8位 | IT教育 (IT関連講師・インストラクターなど) | 651.0万円 |
9位 | IT運用・管理 (顧客向け情報システムの運用) | 608.6万円 |
10位 | SE・プログラマー (組込み製品の開発・実装) | 603.9万円 |
1位は、ITを活用して企業の課題を解決する「ITコンサルタント」の928.5万円。上位陣は、プロジェクトマネージャーやプロデューサーなどの管理系職種、高度で専門的な知識・技術を求められるITアーキテクトやIT技術スペシャリストなどが占めています。
では、開発の現場で活躍するシステムエンジニアやプログラマーはどうでしょうか。
職種 | 平均年収 |
---|---|
顧客向けシステム | 593.7万円 |
ソフトウェア製品 | 568.5万円 |
組込みソフトウェア | 603.9万円 |
インターネット関連 | 592.2万円 |
こちらも、日本の平均年収より高い傾向にあるようです。
「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」では、スキル標準レベル別にも給与水準の平均を分析した結果を出しています。「ITスキル基準」とは、個人のIT関連の能力を職種・専門分野ごとに明確化・体系化し、IT人材に求められるスキルやキャリアを示したものです。
ITエンジニアは技術職であり、身に着けているスキルのレベルによって評価されますので、それぞれの平均年収を見比べてみましょう。
レベル1からレベル3までの年収の上昇はゆるやかですが、レベル4以降は大きく上昇していますね。レベル6・7になると1000万円以上の年収も見込める結果になっています。
ITエンジニアは、使用するプログラミング言語によっても年収がかわります。プログラミング言語によって開発できるものが異なるため、需要が高く扱える人が少ない言語ほど、年収は高くなる傾向にあります。パーソルキャリアが2022年6月に発表した、日本のプログラミング言語別平均年収ランキングを見てみましょう。
出典:パーソルキャリア「日本のプログラミング言語別平均年収ランキング」
1位はSAPシステムの開発に使用する「ABAP」の661万円。2位は統計解析に使用する「R」の656万円、同率3位はWEBアプリ開発やシステム管理などで使用する「Perl」とWindowsのアプリ開発に使用する「VC・VC++」の630万円でした。
しかし、この結果には、これらのプログラミング言語を扱えるエンジニアには、開発経験が豊富な人が多いという背景もあると考えられます。
出典:パーソルキャリア「ITエンジニアが学びたい言語ランキングと開発言語別の平均年収の比較」
パーソルキャリアが過去に発表した「ITエンジニアが学びたい言語ランキング」で上位だった、「Python」「Java」「JavaScript」は、平均年収のランキングではトップ10入りしていません。習得するプログラミング言語をこれから検討するという方は、単純に平均年収だけで選ばず、就職のしやすさや将来性も合わせて考えながら検討するようにしましょう。
ITエンジニアの年収は、他の職業と同じように働く地域によっても差が出てきます。地域別のITエンジニアの平均年収を見てみましょう。
参考:求人ボックス給料ナビ「ITエンジニアの仕事の地域別給料」 2022年8月時点
平均年収が一番高い地域は関東。そのなかでも東京都が523万円と高い水準です。一方で、一番給与水準が低い都道府県は長崎県の384万円。東京都との差は139万円になります。
しかし、平均年収だけでは考えきれない地方の魅力もあります。地方では、都会に比べて家賃や物価が安い傾向があり、生活コストは低く抑えられます。また、地元への就職であれば実家を頼りながらの生活も検討できるかもしれません。
最後に、年齢別の平均年収を見てみましょう。
年代 | 平均年収(全体) |
---|---|
20~24歳 | 339万円 |
25~29歳 | 445万円 |
30~34歳 | 533万円 |
35~39歳 | 573万円 |
40~44歳 | 621万円 |
45~49歳 | 651万円 |
50~54歳 | 666万円 |
55~59歳 | 652万円 |
参考:求人ボックス給料ナビ「ITエンジニアの年代別の年収」 2022年8月時点
データを見る限り、年齢が上がるにつれて平均年収は高くなっています。
ITエンジニアは技術者であり、実績から判断される能力が年収にも反映されます。実績を積み上げてきた年齢層ほど年収は高くなるでしょう。開発の現場からプロジェクトを管理するポジションにキャリアアップする人が増える年齢層も、年収は高くなると言えます。
また、「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」の年功に関するアンケートを合わせて考えると、年功序列制度をベースにして能力・成果を評価している企業も多いことが、結果の要因として考えられます。
IT業界では、IT人材の需要と供給にギャップが生じているのが問題になっています。2019年に経済産業省が試算した「IT人材供給に関する調査」を見てみましょう。
この試算結果によると、日本は深刻なIT人材不足に陥っていて、2030年には最大で79万人のITエンジニアが不足すると予想されています。このデータは2019年の試算ですが、DXの推進やIoT・AIといった新しい技術の躍進により、社会のITニーズはますます高まっています。
ITエンジニアは活躍の幅が広く、WEBアプリやシステム開発、組込みなどさまざまな業界でITエンジニアが必要とされています。これからも私たちの生活にあわせて、ITエンジニアの仕事も発展の見込みがあります。AIや海外のエンジニアによって仕事がなくなるという話もありますが、技術の進歩に対応し、時代に必要とされるスキルを持っている限り、将来性がなくなる可能性は低いでしょう。
ここまでは、あくまでITエンジニアの平均年収についてお話しました。たしかにITエンジニアの平均年収は日本の平均年収より高い傾向にありますが、スキルや実績によって左右されて、勤める企業によっても幅があります。
ITエンジニアのなかには、持っているスキルや勤務時間の割に年収が低い人も存在するので、その理由も知っておきましょう。
クライアントからシステム開発を受注しているIT企業の多くが、ピラミッド型の多重下請け構造の中にいます。これが、ITエンジニアの年収が低いといわれる理由のひとつです。
IT業界では、発注された仕事が元請け企業から二次受け企業、さらにその下の三次請け・四次請け企業へと流れていきます。下請けに行くほど、請け負う金額が少なくなってくるため、所属するITエンジニアの給与も低くなってしまいます。
そのため十分なスキルがあっても、三次四次受けばかりを担当する下請け企業に就職すると、薄給になってしまうのが現状です。
市場価値とは、「企業から見たその人の将来的な価値」を指す言葉です。ITエンジニアの年収が低いといわれる要因には、単純な額面だけでなく、能力に見合った年収をもらえていないという側面も含まれています。
IT業界は、実績とスキルがあれば比較的転職しやすい業界といわれています。最初に就職した企業ではまったく上がらなかった年収が、転職することで一気に上がることも珍しくありません。能力主義と思われがちなIT業界ですが、年功序列に縛られている企業も多くあるので、給料アップを目指すのであれば、実績やスキルをもって自分を売り込み、自分の価値を適正に評価してもらえる企業への転職も検討する必要があります。
ITエンジニアは将来性や需要が高い職業であり、転職やスカウトも多いため、自分の市場価値を高めることでさらに年収を上げられます。今回は、ITエンジニアとしての年収を上げる方法を4つ紹介します。
IT技術が日々進歩していく業界において、ITエンジニアが年収を上げるために重要なのは、ニーズにあわせて新しいスキルを習得していくことです。職種別やプログラミング別の平均年収で見たように、より高度な技術を習得することでキャリアアップしていくことができます。
スキルの証明としては、携わった案件の実績が一番有効ですので、学習した知識や技術を活かせる案件があれば、積極的に携わっていきましょう。自分の今の技術で満足せず、常に学習をして周りにアピールしていくことが、自分の市場価値を高めることにつながります。
ITエンジニアは、必ずしも資格が必要な職業ではありません。しかし、取得難易度の高い資格をもっていれば、新しい案件に携わったり転職活動をしたりするために、有利になる場合があります。また、会社によっては資格の有無が昇給や昇進の条件になっているところもあるので、キャリアアップにもつながるでしょう。
キャリアアップに役立つ代表的な資格は、次の3つがあります。なりたいITエンジニア像と照らし合わせて取るべき資格を選択していきましょう。
資格 | 内容 |
---|---|
応用情報技術者試験 | 基本情報技術者試験の上位にあたる国家資格 取得することで、技術関係だけではなく、管理や経営といった幅広い知識があることを証明できる |
情報セキュリティスペシャリスト | 情報システムのセキュリティのプロであることを証明できる国家資格 セキュリティエンジニアや情報システム管理者を目指す場合におすすめ |
データベーススペシャリスト | データベースに関する高度な知識が求められる国家資格 データベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す場合におすすめ |
ITエンジニアとしての年収を上げたいとき、目標に向けてチームを牽引したといった「チームマネジメントの実績」もアピールするといいでしょう。職種別の平均年収で上位にあったように、プロジェクトの管理ができる人材は重宝され、マネジメント方面でのキャリアアップを目指すことができます。マネジメント能力も実績が評価されるため、次のようなことを行うチームリーダーの経験から積んでいきましょう。
・チームメンバーのモチベーションの確認
・メンバーの経験やスキルを考慮し、役割分担をする
・役割ごとにメインの担当者を決める
・チーム内で共通認識を持たせて、協力して働く雰囲気を作る
ITエンジニアとしての年収を上げるために、フリーランスになるのも選択肢になります。企業に就職した場合、安定した収入は見込めますが、上限があります。また、会社から自分が満足できる評価を得られるとは限りません。そのため、自分のスキルに自信があり、収入を上げたい、自身で将来を開拓したいという方は、フリーランスの道を選ぶといいでしょう。ただし、フリーランスはITスキルだけでなく、収入や仕事量を自分自身で管理する能力、営業能力、人脈、はじめてのチームでも活躍できるコミュニケーション能力など幅広い能力が必要になります。病気や怪我などで長期間働けなくなるリスクに備えておく必要などにも留意しましょう。
未経験でも、ITエンジニアへの転職を目指したい人には、就職支援があるプログラミングスクールでプログラミング学習からはじめていきましょう。特に首都圏や高知県での就職を希望している場合は、完全無料のオンラインプログラミングスクール「学舎さくら」がおすすめです。
基礎から実践的な制作実習まである充実した学習カリキュラム。講師への質問は無制限。進捗度・理解度にあわせた学習サポートもあるので、プログラミング未経験でも挫折せずに学習できます。
また、就職支援では、あなたの適性や経験を考慮した応募書類の作成支援や模擬面接など。キャリアアドバイザーのサポートをマンツーマンで受けられるのもポイントです。
毎月入学可能で、WEB説明会も随時開催しているので、興味があればぜひ参加してみてください。
ITエンジニアの平均年収は、日本の平均年収よりも水準が高いですが、これはあくまでも平均年収の話です。ITエンジニアの年収は、実績やスキルなどの条件によって左右されていて、職種が同じでも人によって年収幅があることも。ITエンジニアの年収を上げるには、自分の市場価値を高めることが大切です。ITエンジニアに転職した後は、この記事で紹介した方法を参考に、自分の強みを伸ばして年収アップを目指しましょう。
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