2021年10月6日
|2021年10月22日
地方へ移住して働きたいと考えているけれど、「地方には仕事がない」と聞くため、不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、地方には本当に仕事がないのか?地方の仕事事情や働き方、仕事の探し方を解説します。地方での仕事探しに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
「地方には仕事がない」と言われますが、結論でいうと「仕事はあるが業種や職種の選択肢が少ない」というのがより具体的な回答になります。
都会と地方では人口や事業者数に差があるため、求人数だけで比べると数を少なく感じるのは事実です。しかし、最近では人手不足で有効求人倍率が改善され、2021年7月の有効求人倍率のデータでは、東京都の有効求人倍率は1.19倍、地方も一部の県を除いては1倍以上の倍率となっています。
つまり、「地方には仕事がない」と言い切れるわけではなく、むしろ現状では一般的なイメージよりも「地方には仕事はある」ことが分かります。
参考:独立行政法人 労働制作研究・研究機構 職業紹介-都道府県別有効求人倍率
ただ、地方は都会と比べると選べる業種や職種が異なり、特にITやメディア関係の募集は多くありません。クリエイティブ系や出版・WEB系、広告代理店などの業種は見つかりにくい傾向にあるでしょう。また大手企業の本社も都会に集中しているため、大手企業に存在するような職種で経験を積みたい場合は、地方で見つけるのは難しいのが現状です。
業種や職種の選択肢が少ないことや、大企業が少ないことは「希望条件に合う仕事がない」という問題につながります。地方でも求人数はあるわけですから、「地方には仕事がない」のではなく、「地方には希望条件に合う仕事がない」というのが正しい表現でしょう。
特に、都会から地方への移住を考える場合、都会の仕事条件が念頭にあるため、給与や待遇などのミスマッチを起こしやすい傾向にあります。地方では都会に比べて給与水準が低いため、同じ仕事内容で同じ給与をもらうのは難しいでしょう。しかし、地方には都会と違う暮らし方があるため、収支のバランスまで考えることで、希望条件を見直すことは十分に可能です。
地方で仕事を探す際は、自分にとって譲れない条件を押さえたうえで、その土地の事情に合わせて希望条件を再考することで、仕事が見つけやすくなるでしょう。
ここからは、地方就職への視野が広がるよう、地方企業の実情や色々な働き方について紹介していきます。
「地方には仕事がない」というイメージとは反して、実は地方では人材不足が深刻化しています。地方が抱える問題とはなにか、主に2つ解説します。
進学や就職などをきっかけに、若年層が地方から東京圏へ流入しており、地方では若年層の雇用が難しくなっています。国土交通省の2021年3月の資料によると、10代後半から20代については東京圏の転入超過数の総数のうち91.1%(2019年データ)を占めていました。大手企業の新卒一括採用や賃金の高さから、働き手が都会へ集中しており、さらに地方に残っている若年層も公務員やメディア露出の多い一部の人気企業に集まりやすく、地方での若年層の人材獲得競争は激化しています。
出典:国土交通省東京一極集中の現状と課題 国土の長期展望に係る意見交換会
また、地方では日本の少子化に伴う人口の減少と、若年層の東京圏への人口流出による高齢化で、労働力不足、経営者の後継者不足も課題となっています。そのため、地方の多くの中小企業は人手不足が深刻です。
なので、労働人口の少ない地域であれば、必然的に人材の価値は上昇するでしょう。
伸びしろのある意欲的な若年層が重宝されやすいのはもちろんのこと、大企業などで経験を積んできた転職組も、高い技術力を学びたいと考える企業も多いので、即戦力として歓迎される可能性が高いです。
採用広告が消極的なだけで、人材を求めている優良企業はたくさんありますので、地方就職では情報収集が肝心となります。
地方にはさまざまな働き方があります。そのため、地方で仕事をする場合、今までの働き方に捉われず、地方ならではの働き方を選択肢として検討してみるのもひとつの手です。
ここからは、地方での働き方について主に4つに分けて解説していきます。
「雇用型」とは、職業でいうと会社や法人に雇われる会社員のような働き方です。
正社員や派遣・アルバイト、近年ではリモートワークなど、雇用型の中でも働き方が多様化してきています。
地方で雇用されて働く場合、どのような働き方があるでしょうか。
今まで会社員として勤めてきた方であれば、地方へ移住してからも企業へ就職して仕事をするという方法が、もっともイメージしやすい働き方ではないでしょうか。
移住は、ただでさえ周りの人づきあいや生活スタイルなど環境の変化があるため、仕事もまったく新しいことを始めるには精神的な負担も多く、現職とあまり変わらない内容、もしくは今まで経験したことのある内容の仕事を希望する人が多いようです。
テレビなどの影響で大企業が注目されがちですが、中小企業の割合は全企業の99%以上と言われており、地方でもさまざまな中小企業が活躍しています。中小企業は退職者が出たときのみ採用することも多く、求人が出にくいこともありますが、全国的に有名でなくても、その地方では有名な定着率の良い優良企業もあります。また、近年は地方移転している大企業もあり、地方にいながら大企業で働けるチャンスも高まっています。
県外からの転職者を歓迎している企業の中には、地方へ移住して就業してもらうために、寮や住宅支援などを行っている企業もあるので、活用を検討してみるのもいいでしょう。
リモートワークは、通信環境と作業環境が整っていればWebで仕事が完結でき、場所に縛られずに仕事が可能です。そのため、都会の企業に正社員として所属したまま、地方の自宅で仕事ができます。専門性や得意分野があれば、居住地とは関係なく、リモートワークで都会と同水準の給与を稼ぐことができるでしょう。
コロナ禍で働き方改革が行われる中、仕事や育児、介護などの両立を可能にするため、リモートワークを導入する企業も増えています。新しい働き方も検討してみてはいかがでしょうか。
地方への移住を機に、派遣やアルバイトという働き方を選ぶ方もいます。都会で忙しく働き詰めの生活に疲れてしまって、地方でゆっくりした暮らしを求めて移住した方や、サーフィンが趣味で、海の近くに住みたくて地方への移住を決めた方などにとっては、プライベートの時間が確保しやすい働き方です。ある程度、貯蓄に余裕があって資金計画がたてられるのであれば、早期退職してセミリタイアという暮らし方もあります。
知り合いが増えると、短期的に手伝いをお願いされたりするのも地方の特徴で、固定の仕事と掛け持ちで従事する方もいます。
地域おこし協力隊とは、都会から過疎地域などの地方に移住し、一定期間そこに住みながら自治体の地域貢献活動を行い、協力金として報酬が支払われる仕組みです。活動期間は概ね1年から最長3年という期限付きで、地域への定住・定着を図る取り組みとして実施されています。
地域おこし協力隊に参加する人の約7割が20代と30代で、任期終了後約6割が同じ地域に定住し、その後起業する方が多いようです。もちろん、そのまま企業へ就職すること選択する人もいます。
地域おこし協力隊は、地域活性化や町おこしなどに興味のある方にとっては、最適な選択肢のひとつになるでしょう。
「自営型」とは、職業でいうと自営業が該当し、個人が自らの力で事業を経営することを指します。仕事内容や働く時間などを自分でコントロールしやすく、自分が希望するライフスタイルに合わせた働き方が実現しやすくできるでしょう。
では、ここからは地方へ移住する際の「自営型」の仕事についてご紹介します。
地方移住者の中には、移住をきっかけに独立・起業する方が多く存在します。
地方は都会に比べ、物価が低い傾向にあり、家賃や人件費など固定経費を抑えられるため、昔からの夢だったカフェを経営したり、古民家を活用してゲストハウスをオープンしたりと、起業にチャレンジしやすい環境です。
また、都会には普通にあるけれど、地方には普及していない事業やサービスがまだまだ沢山あります。
自分でビジネスを始めたいと思っているけれど、都会では実現が難しいビジネスモデルや、競合が多く起業をためらっていた方も、都会でのノウハウを活かして独自のサービスを展開できる場所になるかもしれません。
地域の活性化に取り組んでいる自治体では、移住者の起業支援を積極的に行っています。無料相談窓口や補助金制度が設けられているので、活用してみるといいでしょう。
参考:内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生 地方へ移住しよう 地方で起業
地方では、高齢化などが原因で働き手不足しており、事業の後継者が見つからずにやむなく事業をたたむ事業者も増えています。自治体によっては、その解決策のひとつとして、事業の担い手候補の募集を積極的に行っています。
初めて起業する場合は、経営ノウハウがないなど不安が多く、起業をためらってしまうケースも多々ありますが、事業承継の場合は、今の経営者からノウハウを学べるため、経営者としての基礎を習得しやすく、地域とのつながりも作りやすくなります。
伝統を引き継ぎながら、新しい視点で事業展開を目指し、地域貢献に参加したい意欲のある移住者にとって、事業承継はやりがいのある仕事と言えます。
「業務委託」とは、会社に雇用されるのではなく、個人で仕事を請け負う働き方です。
近年、場所に捉われない働き方として、パソコンとインターネット環境があれば仕事ができる、プログラマーやデザイナー、ライターなど、フリーランスとして活躍している人が増えています。
企業側も、コロナ禍による人件費削減や、オフィスの縮小化により、外部の労働力を活用するケースも増加傾向にあります。
今まで住んでいた地域の人脈をそのまま生かして仕事を受注したり、クラウドソーシングなどを活用したりする人など、居住地に関わらず全国の人と関わりながら仕事をすることが可能です。
ゲストハウス運営と農業の手伝いなど複数の仕事に携わり、何足ものわらじを履いている移住者は少なくありません。
起業事業+アルバイトとして働いたり、会社員+NPO法人で地域の仕事と複業したり、カフェアルバイト+週末カフェをオープンするなど、複業のパターンは多岐にわたります。
起業の準備をしている方や、地域の知り合いに頼まれて手伝っている方など、地方ではひとつの仕事だけでなくさまざまな働き方をしている方も多いです。
地方では、都会に比べて業種や職種の選択肢は少なくなりますが、都会よりも求められている需要の高い仕事もあります。そのため、地方でしかできない仕事や、地方だからこそ求められている仕事にも視野を広げて探してみるのが、地方での仕事選びがうまくいくコツのひとつです。
ここからは、地方で需要の高い仕事を主に3つご紹介します。
地方では、農業や林業、畜産業や漁業など一次産業の仕事は、人手不足なこともあり募集をかけている地域が多いです。
自治体によっては、農業や林業に就きたい移住者を対象に移住プランを用意して、助成金や研修を受けれる支援を行っています。今まで経験がない人でも、栽培方法や経営のノウハウについて学べるため、将来的に自営で農業や林業にチャレンジするケースも少なくありません。
体力的に負担がある仕事ですが、豊かな自然を相手にした仕事はやりがいもあり、地方だからこそ経験できる仕事とも言えるでしょう。
飲食店やホテルなどの宿泊施設での仕事や、観光名所を案内する観光の仕事もあります。地方には、地域の豊富な食材を活かした飲食店も多く、有名チェーン以外にも地域のお得意様に人気の個人店も多く存在しています。将来的に自分のお店を持ちたい方などは、経験を積んで将来的に開業するステップとしてもいいでしょう。
有名な観光地がある地域では、日本各地からだけでなく海外のお客様に対応するのに、語学力を活かして働くのも可能です。また、季節によってはリゾートバイトが募集されている地域もあるため、住み込みでアルバイトをしてみる方法もあります。
高齢化が進む地方では、医療や介護、福祉に関わる求人は多く存在します。資格がなくても従事できる仕事もありますが、介護福祉士やホームヘルパーなど、資格を取得してチャレンジする人もいます。体力的に負担がある業務が多く大変な仕事ですが、高齢化社会の日本の現状を考えると、ある程度の年齢まで長く働くことができるとともに、地方にとって常に求められる存在と言ってもいいでしょう。
地方で仕事探しをするポイントは、できるだけ多くの情報源から探すことです。一つの求人サイトでしか検索してないなど、狭い範囲でしか探していないと、希望の地域の求人はなかなか見つかりません。有名な就職サイトだけではなく、地方に特化した求人サイトでも探してみましょう。
ここからは、地方の仕事の探し方を4つご紹介します。
ハローワークは、厚生労働省が全国に設置した公共職業安定所で、職業紹介や求人相談など仕事探しに対してさまざまなサポートを行っています。
求人情報はインターネットでも検索が可能なので、希望移住地の求人状況を確認してみましょう。特に、地方の中でも人口の少ない田舎では、ハローワークにしか求人を掲載していないケースが多いので、必ず確認した方がいいです。
ハローワークによっては「地方就職支援コーナー」を設けているところもあるので、UターンやIターンの希望を伝えてみましょう。
ほかにも、就職セミナーや講習会、職業訓練などスキルアップの場としても活用できるので、今まで利用をしたことがない方も、一度最寄りのハローワークに相談してみてください。
地域密着型の求人サイトであれば、希望の地域の求人が多く集まっているため、ピンポイントで検索がしやすいです。主に、地域の中堅企業や優良中小企業の掲載が多く、地域密着型求人サイトにしか掲載していない場合もあります。
例えば高知県に特化した求人サイトであれば、一般社団法人 高知県移住促進・人材確保センターが運営する『高知求人ネット』が有名です。登録することで、地域の求人情報に詳しい専任のコンサルタントがサポートしてくれるなど、心強い支援が受けられます。
希望の移住地域に特化した求人サイトも、ぜひ活用しましょう。
参考:地方に特化した求人・転職サイト100選【エリア別に紹介】
地方就職フェアでは、Uターン・Iターン希望者へ向けた就職・転職についてのイベントが定期的に開催されています。企業担当者と話す機会があり、求人情報だけでは分からない、より詳しい内容が知れるでしょう。
自治体主体で開催されているフェアでは、会社訪問時の交通費が半額支給されるなど、特典や支援制度の利用が可能になる場合もあるので、各自治体のホームページも確認してみてください。
参考:LO活地方で見つける!自分らしい生き方、働き方。セミナー・イベント情報
出典:『学舎さくら』
地方にはIT企業の求人はまだまだ少ないですが、IT技術の向上に力を入れている地域もあります。例えば、高知県にある就職支援付きプログラミングスクール『学舎さくら』では、主に高知県や首都圏でITエンジニアを目指し、就職活動を行う10代から20代を対象に、プログラミング未経験から実務で使える技術の習得と、IT企業への就職支援を行っています。
スクールは企業の紹介料で運営されているため、完全無料で受講が可能です。またオンライン講座なので、移住前にプログラミング技術を習得し、高知県のIT企業への就職活動も行うことができます。
IT技術者が少ない地方では、IT技術を習得している人材は貴重です。自分が希望する移住先地域でも、取り組んでいるスクールがあれば活用することを検討してみましょう。
「地方には仕事がない」と聞くのは、「業種や職種の選択肢が少ない」ことで、「希望条件に合う仕事がない」と感じる方が多かったからと考えられます。
条件の範囲や働き方を広げてみると、意外にも地方にも仕事自体はあります。
多くの求人情報を確認するのはもちろんですが、移住先の仕事事情を踏まえて、自分の中の希望条件と優先順位を再考して、自分にとって最適な地方での仕事や働き方を探してみましょう。
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