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ITコラム

SESとは?未経験者のデメリットとメリット、ホワイト企業の見極め方

2021年10月1日

2021年10月7日

SESとは

SESとは、エンジニアをクライアント企業(客先)に常駐させて、業務を遂行する契約形態の1つです。似たような契約に「派遣契約」と「請負契約」があるので、迷う方もいるでしょう。まずは、SESはどのような働き方なのか、派遣契約や請負契約とはどう違うのかを詳しく解説します。

SES(準委任契約)とは

SESとは(System Engineering Service:システムエンジニアリングサービス)の略で、客先常駐でクライアント企業に労働力を提供する契約形態です。

SESの特徴は、以下の3つです。

  1. 働いた時間に対して報酬をもらう
  2. 完成義務を負わない
  3. 指揮命令権はSES企業にある

どういう仕組みか、もう少し詳しく説明しましょう。

SESは、人手を必要としている企業への技術力および労働力の提供を目的としています。SESは、「システムを開発して納品して欲しい」ではなく、「システムを開発するのに人手がいるから協力してほしい」というニーズに応えています。これが、客先で仕事をして、完成義務を負わず、労働時間に対しての報酬をもらうという特徴の理由です。

ただし、完成義務は負わないとはいえ、結果を残す必要はあります。SESが提供するのは、ただ労働時間を費やすことではなく、技術力を伴った労働力なわけですから、次の案件につなげるためには、評価に値する結果を残すことが重要です。

 

また、指揮命令権が所属元のSES企業にあるというのが大きな特徴です。つまり、どのような仕事をするか、どれくらい働くかは、職場となるクライアント企業ではなく、所属するSES企業から指示されます。エンジニアが指示を仰ぎたい時や休暇を申請したい時は、職場ではなく、所属元のSES企業に相談する必要があります。

派遣契約との違い

SESと派遣契約の最も大きな違いは、指揮命令権が誰にあるのかです。派遣契約とは、派遣元企業に登録して派遣先企業で勤務する契約形態で、労働時間の対価に報酬をもらう点と完成義務を負わない点は、SESと同じです。ただし、指揮命令権は職場となる派遣先企業にあります

派遣契約の特徴は、以下の3つです。

  1. 働いた時間に対して報酬をもらう
  2. 完成義務を負わない
  3. 指揮命令権は派遣先企業にある

自分の会社の社員だけでは対応できない場合に、派遣を依頼するわけですから、SESと仕組みは似ています。ただ、指揮命令権は職場である派遣先企業にありますので、業務内容の指示や残業の指示、休暇の申請などは職場で完結するようになります。

請負契約との違い

客先常駐には、請負契約の形態もあります。SESと請負契約の最も大きな違いは、完成義務があることです。SESが労働時間の対価に報酬をもらうのに対し、請負契約は仕事の完成によって報酬をもらう仕組みです。システムの開発を請け負う企業は、IT業界ではSIer(System Integration:システムインテグレーション)と呼ばれています

請負契約の特徴は、以下の3つです。

  1. 成果物に対して報酬をもらう
  2. 完成義務を負う
  3. 指揮命令権はSlerにある

たとえば、自分の会社でシステム開発をするリソースがない会社は、SIerにシステム開発を依頼します。請け負ったシステム開発が、クライアント企業で開発作業を行わなければならない場合、SIerのエンジニアは客先常駐しての作業を行うことになります。働く場所がクライアント企業なだけで、自分が所属するSIerが請け負った仕事を行うわけですから、当然、指揮命令権は所属するSIer企業にあります。

SESで働くデメリット

SESの基本知識を解説しましたが、SESにはメリットとデメリットが存在します。「SESはやめとけ」といったネガティブな意見を聞くと不安かもしれませんが、まずはデメリットについて正しく理解しましょう

指揮命令権が曖昧になりやすい

SESを結んでいるものの、現場の理解が乏しく、指揮命令権が曖昧になってしまうことがあります。たとえば、契約にない業務を現場でいきなり指示される、クライアントの判断で残業を強要される、などです。これらは、SESなのに派遣業務をさせられているため、「偽装請負」という違法行為になる可能性があります。

対策としては、SES企業からクライアント企業のプロジェクトメンバーに指揮命令のルールを周知してもらうことが挙げられます。個人で悩みを抱えないよう、何かあれば自社に相談する気持ちでいましょう。また、身を守るためには、自分自身も契約内容をきちんと把握しておくことが大切です。

給料が低くなりがち

SESは、SES企業が手元に残すマージンがありますし、そもそも単価が低い下請けのシステム開発に入る場合などは、給料が低くなりがちです。また、未経験者OKといった難易度の低い案件も多く、そのぶん給料が低めに設定されていることもあります。

給料が低いという問題については、キャリアアップや転職を目指してスキルを向上させていくしかありません。実務未経験からの就職では、そもそもスキルアップして転職することを前提として、未経験OKのSES企業へ就職する場合も多いです。

資格手当がある企業や評価制度が設けられている企業であれば、最初は給料が低くても、スキルアップにつれて少しずつ年収を上げることもできるでしょう。

環境の変化にストレスを感じやすい

案件ごとにいくつもの企業を渡り歩くため、環境の変化にストレスを感じる方もいるでしょう。せっかく職場に馴染んだのに、案件完了で次の企業での勤務を命じられると、また0から人間関係を構築しなければなりません

しかし、人間関係のリセットが良い方向に働く可能性もあります。一般企業では転職や異動がなければ別の環境に身を置くことはできず、問題を抱えた人間関係を引きずることになりますが、SESだと1つの環境に縛られずに働くことができます。新しい環境や人間関係の構築が苦でない方なら、ストレスを感じにくいかもしれません。

案件によってはスキルアップが難しい

案件には、テスターといった単純作業を繰り返すだけのものから、高度なプログラミング知識が求められるシステム開発まで、幅広くあります。SES企業に所属するエンジニアは、案件を選べないため、出会う案件によってはスキルアップが難しいことが挙げられます。この実態は「案件ガチャ」と呼ばれ、自分にとって望ましい案件に配属されるかどうかは運次第だと言われています。

簡単な案件ばかりでスキルアップが難しい場合は、独学で技術力を磨きましょう。新しいプログラミング言語の勉強や資格取得など、スキルを向上させることで、別の案件に関わるチャンスを掴めるかもしれません。環境を変えるためには、受け身ではなく主体的なスキルアップを目指しましょう

SESで働くメリット

ここまでデメリットを解説しましたが、SESならではのメリットも存在します。続いてはSESで働くメリットについて解説します

未経験でも正社員に登用されやすい

IT業界は成長業界かつ慢性的な人手不足ということもあり、人手不足を解消するSESは需要のあるサービスです。そのため、SES企業は積極的に採用を行っており、未経験OKで正社員になれる求人を多く見かけます。実務未経験からIT業界に飛び込み、手に職をつけていきたいという方には、チャレンジしやすい業界と言えます。

様々な現場を経験できる

SESの最大のメリットは、様々な現場を経験できることです。同じ会社で一つのプロジェクトを担当し続けるよりも、技術の幅を広げる機会に出会うチャンスが多くなります。様々な実務経験を積みながら、開発にまつわる知識・ノウハウを吸収して、エンジニアとしての価値を高めることができます。

大きな案件に関われるチャンスがある

SESなら、大手企業の大規模システムの開発に携わるチャンスがあります。中小企業のシステム開発の場合は、大手企業と比べてシステムの規模が小さく、自社のエンジニアだけで間に合うことが多いですが、行政システムや大手企業の場合は人手不足で難しいことも。そういった開発に携われると、自身の実績やスキルアップに活かすことができます。

残業が少ない

SESは契約上、現場での突発的な残業指示がないため、残業が少ないのもメリットです。労働時間に対して報酬をもらう仕組みなので、もし残業が発生してしまった場合は、クライアント企業が残業代を支払わなければなりません。このことからも、クライアント企業は残業をさせないようにするのが一般的です。

ただし残業代が少ないということは、「給料が低くなりがち」という話の一因にもなります。また、SESの契約では、ある程度のみなし残業を含んだ給料が設定されている場合もありますので、残業の少なさをメリットと感じている人は、よく確認するようにしましょう。

ホワイトSES企業の見極め方

ここまでSESのデメリットとメリットを紹介してきましたが、まだSESへの不安が拭えない方もいるでしょう。そこで、ここからはホワイトSES企業の特徴を解説します。

受託開発や自社サービスも行っている

SESだけでなく、受託開発や自社サービスを行っている企業は、将来性のある企業だと言えるでしょう。受託開発なら社内で開発できる環境が整っていますし、自社サービスがあるのなら高い利益率で安定した成長が見込めます。しかも、チームのマネジメントや新しいサービスの開発、様々な経験を積むといった幅広い仕事の選択肢があるので、SESでスキルアップした後のキャリアを自社内で描きやすいのが魅力です。

評価制度がしっかりしている

評価制度がしっかりしている企業はホワイト企業の特徴の1つです。SESのエンジニアは客先で働くスタイルなので、評価基準が曖昧になりがち。しかし、評価制度が確立されている企業なら、キャリアパスが描きやすくなりますし、モチベーションも上がるはずです。定期的な面談や社内表彰など、企業によって様々な評価制度があるので、求人票を見るときは評価制度にも目を向けてみましょう。

福利厚生がしっかりしている

SES企業に限ったことではありませんが、福利厚生が充実している企業は、社員に長く働いて欲しいと考えている企業であることが多いです。福利厚生とは、月々にもらえる給与以外の報酬およびサービス全般のこと。たとえば、住宅手当や家賃補助は経済的な豊かさを、休暇制度は精神的な豊かさをもたらしてくれます。また、福利厚生が充実している企業は年収も高い傾向にあるので、生活の安定につながるでしょう。

自社のエンジニア育成に積極的

どの業界でも、自社の社員への教育に積極的な企業は、人繰りや資金に余裕があったり、経営課題への取組意識が強かったりなど、社員が成長できる職場環境だと思われます。

エンジニアのスキルアップに成功すれば、業務のパフォーマンスも上がるため、企業全体の生産性を高められます。エンジニアを使い捨てとして扱わず、組織全体でスキル向上を目指している企業は、未経験エンジニアにとっても優良企業であるはずです。

エンジニア経験者が多い

エンジニア経験者が多いかどうかは、ホワイト企業の大きな特徴です。エンジニアは業界的に人手不足にも関わらず、経験者の採用に成功しているということは、それだけ優良な企業だということ。特に、30~40代のエンジニアの数が多い企業は、エンジニアが20代で辞めずに定着している証になります。現場の苦労を理解してくれる人がいると、作業の効率化や長時間労働の是正に意欲的に取り組んでいる傾向が高いので、働き方改革に前向きな企業と言えるでしょう。

まとめ

SESとは客先常駐型の契約形態の1つで、①働いた時間に対して報酬をもらう②完成義務を負わない③指揮命令権はSES企業にあるのが特徴です。ネガティブな面もありますが、「実務未経験でも採用されやすく」「様々な現場を経験できる」といった業界未経験者に魅力的なメリットも多くあります。また、SESが一概に悪いわけではなく、入社する企業の環境に大きく左右されるということが分かりました。SESをしっかりと理解し、優良企業を見極めて、より良い環境でエンジニア人生をスタートしましょう。

WRITER -この記事を書いた人-

学舎さくら編集部

未経験からプログラマーを目指せる就職支援付きプログラミングスクール。プログラミングの基礎知識や、IT業界への転職に向けた情報など、未来のITエンジニアに役立つ情報を発信しています。

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