2021年7月2日
|2023年1月31日
Linuxは、サーバ管理やアプリケーション開発といった様々な業務で使用されているOSです。特にサーバ用OSとしてのシェアは高く、インフラエンジニアにとっては接する機会の多いOSでしょう。また、クラウドで使用されるシェアも高いため、インフラエンジニアに限らず、これから学びたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
Linuxのスキルをしっかりと身に付けたいのなら、資格の取得を目指して体系的な知識を学ぶのがおすすめです。この記事では、Linuxの資格の1つである「LinuC」について、試験の概要や合格者のアドバイスなど詳しくご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
出典:IT資格といえば LinuC | Linux技術者認定試験 リナック | LPI -Japan
「LinuC(リナック)」とは、正式名称を「Linux技術者認定資格 LinuC」と言い、Linuxに関する知識と技術力を証明できるIT民間資格の1つです。
LinuCを実施しているNPO法人LPI-Japanが「日本の市場に最適化した新たなLinux技術者認定試験」として独自に作成し、2018年3月1日からスタートした比較的新しい試験になります。従来からあったLPICという資格から派生した資格ですが、LinuCの試験は、日本のIT業界に最適化された知識が学べること、定期的に試験問題が更新される公正性の高さが強みです。
LPICからの派生後しばらくは、受験者の混乱を防ぐために出題範囲を同じにしていましたが、2020年4月の試験で一部問題が大幅に改定され、LinuCの独自性が強まりました。
Linuxの資格には、「LinuC」とは別に「LPIC(エルピック)」という民間資格があります。LinuCはLPICから派生した資格ですが、LPICはカナダに本部を置くLPI(Linux Professional Institute)によって運営されている資格であり、LPI-Japanによって日本市場向けに作られたLinuCとは、運営元が違います。
LPICの強みは、世界共通の国際資格なのでグローバルに活躍できる点と、歴史のある資格なので知名度が高い点です。しかし、問題文の和訳が完全でなかったり、公正性の低さが問題視されていたりするのが欠点であり、日本では国内で優位性を持つLinuCを受験する人が増加していくことが予想されます。
将来に向けて「Linuxの勉強を0から無理なく始めたい」「日本で活躍したい」といった場合は、「LinuC」を第一候補にするのがいいでしょう。
LinuCの位置づけや概要について学んだところで、ここからはLinuCを取得した際のメリットについてご紹介します。
LinuCの大きなメリットとして、Linuxについての体系的な知識と技能の証明が挙げられます。様々な用途で使用できるLinuxですが、大きな特徴はサーバを構築できるということです。安定性やセキュリティが高いOSにも関わらず、無料で使用できるためサーバ用OSとして広く使用されています。クラウドサーバでも高いシェアを持っているので、特にインフラエンジニアにとっては周りと差をつける1つの証明書となるでしょう。
LinuCを持っていると、Linuxの基礎知識がある人物として証明が出来ます。企業によっては、資格手当を設けている場合があるので、資格取得で年収をアップできる可能性もあります。また、運用保守やヘルプデスクといった職種からインフラエンジニアへのキャリアアップを目指すなら、LinuCの勉強はLinuxの基礎知識の裏付けとして役立つでしょう。
IT業界は経験や実績が重視される業界ですが、未経験からITエンジニアへと就職・転職する場合は、資格が自己PR評価の対象になります。Linuxに関わる業務が未経験の場合、LinuCの資格取得で熱意や学習意欲、ポテンシャルなどをアピールできます。資格を取得すれば、履歴書に学習の成果として残せるので、就職・転職活動の際はぜひ取得したいものです。
出典: LinuCの3つのレベル | Linux技術者認定試験 リナック | LPI -Japan
LinuCは、レベル1から3までの3段階のレベルで構成されており、試験の難易度も数字を追うごとに上がっていきます。それぞれのレベルで要求される知識や特徴をご紹介しますので、LinuC初心者に合う試験を見つけていきましょう。
レベル1の試験では、Linuxサーバーの構築から運用、保守、システム管理などの基礎知識と技術に関する問題が出題されます。資格の認定には、出題範囲が異なる101と102の両方の試験に合格する必要があります。勉強時間は、初めて受験する方は1~3ヶ月程度が目安です。受験資格に前提条件がなく誰でも受けられる資格なので、思い立ったらすぐ受験勉強に取り掛かることができます。
レベル2の試験では、仮想マシンを含むLinuxのシステム設計とネットワーク構築などに関する高度な知識と技術に関する問題が出題されます。資格の認定には、レベル1の資格を保持した状態かつ、出題範囲の異なる201と202の両方の試験に合格する必要があります。勉強時間は、初めて受験する方は3か月~半年程度が目安です。
レベル3の試験では、Linuxの各分野の最高レベルの知識と技術に関する問題が出題されます。試験は次の3つの専門分野のいずれかを受験することになります。
・300試験(混在環境)
Linux、Windows、Unixの混在環境の設計から運用・保守に関する実践的なスキル
・303試験(セキュリティ)
Linux環境でのセキュアなシステムの設計から運用・保守に関する実践的なスキル
・304試験(仮想化と高可用性)
Linux環境でのクラウド(仮想化)システムや高可用性技術システムの設計から運用・保守に関する実践的なスキル
レベル3認定の条件は、LinuCレベル2の資格を保持した状態かつ、対象となる300、303、304のいずれか一つの試験に合格すること。LinuCのさらに上の資格を狙うのなら、自分がどの分野に特化したいのかを予め考えながら勉強を進めるのがいいでしょう。
Linux初心者が資格取得を目指すなら、Linuxの基礎知識が学べて受験資格が必要ないLinuCのレベル1を目標にするのがいいでしょう。LinuCのレベル1の試験の詳細とおすすめの勉強法について紹介します。
受付期間 | 随時受付 | |
試験日 | 随時実施 | |
会場 | 全国のピアソンVUE社テストセンター、自宅や所属企業からオンライン | |
申込 | ピアソンVUEの専用ページから試験予約する | |
試験時間 | 90分(※) ※試験後の簡単なアンケートに5分の時間を要するので、試験問題を解く時間は実質「85分」 | |
101試験(Version 10.0)出題範囲 | 主題1.01:Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用 主題1.02:ファイル・ディレクトリの操作と管理 主題1.03:GNUとUnixのコマンド 主題1.04:リポジトリとパッケージ管理 主題1.05:ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム | |
102試験(Version 10.0)出題範囲 | 主題1.06:シェルおよびスクリプト 主題1.07:ネットワークの基礎 主題1.08:システム管理 主題1.09:重要なシステムサービス 主題1.10:セキュリティ 主題1.11:オープンソースの文化 | |
出題方法 | 選択式と記述式の併用で、選択式の問題は60問 | |
受験料 | 16,500円(税込) | |
合格ライン | 正解率65~75%以上 | |
試験別の有効期限 | 両方の試験を5年以内に合格する必要がある | |
有意性の期限 | 認定の有意性を維持するためには「認定日から5年以内」に同一の試験に再度合格する、または保有する認定レベルより上位の認定を5年以内に取得する必要がある |
参考:(LinuCレベル1Version10.0試験概要 | Linux技術者認定試験 リナック | LPI-Japan)
ここからは、独学でLinuC合格を目指す方におすすめの勉強法をご紹介します。参考書だけでなく、開発環境を整えたりオンライン問題集を解くなど、実戦形式で質×量が多い学習を意識していきましょう。
Linuxの基礎を学ぶなら、まずは実際にLinuxを操作できる環境を作りましょう。有名なLinuxディストリビューションには、CentOSやUbuntuがあります。どちらも日本語環境を整えられて初心者向きのディストリビューションなので、試しにこの2つのどちらかからLinux環境を作ってみるのがおすすめです。
独学で学ぶなら参考書が欠かせませんが、合格者から高評価なのが『Linux教科書 LinuCレベル1 Version 10.0対応』です。参考書の色から通称「あずき本」として親しまれ、LinuCの試験対策の代表的な一冊です。ボリュームがあり、解説も細かく丁寧なので、初心者でも取り組みやすい参考書になっています。
参考:amazon
あずき本と併用しながら、「Ping-t」のオンライン問題を解いて実力をチェックしましょう。Ping-tに登録すると、LinuC/LPICの問題集に無料でアクセスできます。実際の試験を想定しながら、Ping-tで問題の正答率を上げていきましょう。無料の問題集以上の活用をしたいという方は、有料コンテンツに加入することもできます。
登録ユーザーには、LinuC/LPICの受験チケットを割引価格で販売しているので、受験する際には忘れずチェックしてみてください。
LinuCの認定で気を付けないといけないのが、各試験の有効期限と認定の有意性の期限です。
それぞれの期限を過ぎてしまった場合、せっかく取得した資格が無効となってしまったり、スキルの証明書として効果を発揮できなかったりします。そうならないよう、試験の有効期限と認定の有意性の期限について確認しておきましょう。
まず、LinuCには各試験に5年の有効期限が定められています。たとえば、レベル1の場合、101と102の両方の試験に合格しなければ認定されませんが、101のみに合格した場合、合格日から5年以内に102に合格しなければ、101の合格は取り消されます。その場合、レベル1に認定されるためには、もう一度101から受験し直す必要があります。つまり、2つの試験の合格が必要な資格(レベル1とレベル2)では、片方の試験に合格したら、もう片方の試験は5年以内に合格する必要があるので注意しましょう。
LinuCを取得すると、認定の有意性の期限(再認定ポリシー)として資格の認定ステイタスが設定されます。ステイタスには、ACTIVEとINACTIVEという2つの状態があり、各レベルの資格に一度認定されると「ACTIVE(有意性あり、現在活動中)」として示されます。その後、5年以内に再び同一レベルの資格に認定されるか、あるいは上位レベルの資格を取得しないと、「INACTIVE(過去のスキル)」として扱われてしまいますので、取得後はしっかり念頭に置いておきましょう。
合格者Nさん
Linuxを全く触ったことがなかった私ですが、それぞれ一回目の受験で合格することが出来ました。コマンドなど覚える事が多く、最初は苦戦することが多いと思いますが、ここで私が行った勉強方法をアドバイスいたします。
まず、参考書はLinux試験の教科書と言われている「LinuCレベル1 Linux技術者認定試験学習書(以下、あずき本)」と、「スピードマスター問題集(以下、白本)」を使いました。あずき本はサーバエンジニアとして知識を蓄えるうえでは、かなり重宝する一冊だと思います。コマンドやファイル書式、オプションがわかりやすく表にまとめられていて、つまずいたときに、すぐ見返すことで理解力アップに繋がります。
あずき本は3回程度読み通すことをおすすめします。1回目は軽く読み、こういう仕組みなのか、こんなコマンドがあるのかという程度の理解で構いません。2回目は、よくわからない所を何度も読み返し、インターネットで調べて理解を深めます。3回目は、再度わからない所を確認して各章の最後にある練習問題にチャレンジしました。解説を読んで実際にコマンドを打ち込み、実行結果を確認して、またあずき本を読み返すの繰り返しで知識を確固たるものにできました。
練習問題については、参考書だけでなく「Ping-t」という無料でも活用できる学習サイトで問題を解いていくようにしました。コマンド打込み画面が実行例として添付されているため、コマンドを打てばどのように動作するか、仕組みの理解に役立ちます。
あずき本とPing-tで理解が深まってきたところで、白本の問題に取り掛かり、応用力を身につけていきました。白本の問題は、少し難易度が高いですが本番の試験に近いものがあり、9割以上正解するようになれば自信をもって資格試験に臨むことができると思います。
Linuxの資格にはLPICとLinuCの2種類があり、どちらも未経験者の就職や転職活動において採用担当者から一定の評価を得られる資格です。Linux初心者なら、まずはLinuCのレベル1から勉強するのをおすすめします。取得すれば、今後Linuxのエンジニアとしての成長の幅が広がるでしょう。
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